国土交通省の観光統計によるとビジネスホテルの稼働率は、コロナ前は75.8%くらいを推移していましたが、2020年度には42.8%に急落しその後低迷が続いていました。行動制限が解除された2024年度には国内需要が回復に向かったことで73.9%と回復し、その後もインバウンド需要の増加もあり高稼働率が維持されるとともに、人件費やエネルギー価格の上昇も重なり客室単価の急激な上昇が見られます。ともすると、「ホテル難民」になってしまいそうなご時世ですが、おすすめのホテルを「とにかく安く泊まる」という視点ではなく、「お値段以上のホテルに泊まる」という視点でご紹介しましょう。
「ドーミーイン」ホテル
「ドーミーイン」とは、㈱共立メンテナンスが運営するビジネスホテル事業形態で、このほか「ドーミーインプレミアム」、和風ビジネスホテル「御宿野乃」の合わせて3つのシリーズを展開しています。「ドーミーイン」が基本のビジネスホテルで、「ドーミーインプレミアム」は家族で泊まって観光もというコンセプト、「御宿野乃」は靴を脱いで寛ぐ畳文化、日本の和を感じるブランドです。それぞれ客室の仕様などが異なっていますので、客室単価はそれなりに差別化されています。現在は全国各所に97棟の「ドーミーイン」が営業中です。これらはすべて共通して「快適に、シンプルに、住むホテル」というコンセプトで運営されており、次の4つの特徴、①温泉大浴場、②客室、③朝食、④無料サービス、が大きな魅力となっています。
①温泉大浴場
事業会社の共立メンテナンスは、学生寮・社会人寮から事業を始めた企業ですので、「大浴場」へのこだわりが強かったようです。当時は非常識とされたビジネスホテルでの大浴場の設置を一貫して行ってきています。さらに、お湯は「温泉」にこだわり、可能な立地であれば敷地内で温泉を掘削し自家源泉としていますし、それが無理な場合は近傍温泉地より温泉をタンクで輸送して大浴場に供給しています。また、サウナ、冷水風呂、外気浴の設備も整っていますので、温泉好き、サウナ好きには大満足の大浴場です。
②客室
「ドーミーイン」の客室は、自宅の寝室のように寝転びながら便利に過ごせるように工夫されています。「ドーミーインプレミアム」に多い客室は、寝室の機能にリビング機能も追加しベッドプラスアルファのスペースと家具が設置されています。「御宿野乃」では建物玄関で靴を脱ぎ、全館裸足で過ごすスタイルです。なかでも和洋室タイプには畳敷きのスペースがあり、床で過ごしたり畳の上に布団を敷いて寝ることもできます。
③朝食
学生寮・社会人寮から事業を始めた企業ですので、食事に対するこだわりも強いようです。季節ごとに厳選したカラダに優しい食材で、全国各地のご当地メニューを、目の前で作るライブキッチン演出です。宿泊プランを朝食付きにしますとプラス2,000円~2,500円程度かかりますが、ビュッフェスタイルの食べ放題でもありますし、お得感はあると思います。
④無料サービス
「ドーミーインホテル」の大きな魅力のひとつが、各種の「無料サービス」です。まず、チェックインの前後にはロビーやレストランで「①ウエルカムドリンク」を自由に飲むことが出来ます。部屋の冷蔵庫にはゼリーなどの「②オリジナルスイーツ」が用意されていますし、大浴場の近くには「③湯上りアイス」の準備もあります。夜も更けて小腹が空く頃には、レストランで「④夜鳴きそば」と称してハーフの醤油ラーメンが提供されています。翌朝に朝風呂に入った方には、ヤクルトみたいな「⑤乳酸菌飲料」が大浴場近くに用意されています。また、「⑥洗剤自動投入式洗濯機」も自由に使えますので、着替えを少なく旅行することも可能です。
共立リゾート
ビジネスホテルとは一線を画しますが、全国の名勝・名湯の地に「上質な癒しと快適さ」を備えながら肩の凝らない「湯宿」と「リゾートホテル」が展開されています。全国に42ヵ所ありますが、なかでも「ラ・ヴィスタ」9棟は「絶景が心を導く非日常」をコンセプトとしたワンランク上の施設となっています。リゾートホテルですのでそれなりの価格設定ですが、同社の株主優待制度を利用しますと1~3割引きで利用することが可能ですので、一度検討してみてはいかがでしょう。
まとめ
最近はホテルの予約が困難であったり価格が高騰しています。安さを追求するのも一つの方法ですが、滞在の快適さや上質なサービスを享受して、相応の金額を支払う選択肢もあるかもしれません。温泉やサウナに行くことを考えれば2,000円前後はかかるでしょうし、ラーメンやドリンクなどの無料サービスなども考えると、それなりの金額でも納得できるかもしれません。株主優待ではリゾートホテルの割引のほか、ビジネスホテルや系列飲食店で使える金券も貰えます。ホテル独自のポイント制度もありますので、これらを活用して上手なホテルライフを目指しましょう。