モヤシ好きの、モヤシ研究

モヤシ写真 エッセイ

モヤシ好きです。居酒屋ではモヤシ炒め、中華料理屋ではモヤシナムル、が定番です。自宅では挽き肉のモヤシ炒めや、モヤシたっぷりのキムチ鍋、なども楽しんでいます。安いし、シャキシャキとした食感、クセがないのでどんな食材、調味料にもよく合います。

「なんでこんなに安いんだろう?」と思って調べてみました。まずは「モヤシって何?」からです。モヤシは緑豆や大豆の種子を、日光に当てずに水耕栽培で育てます。水耕栽培といっても大胆なもので、1mちょっとの立方体のコンテナに、ドバーッと種子を入れて1日2回水を掛けるというものです。温度管理は必要ですが、1週間もすると大きなコンテナが、10㎝程度に成長したモヤシで満杯になります。日光に当てる必要がないので、第二次大戦中は潜水艦の中でも栽培しましたし、管理された環境の中で育ちますので、現在でも南極の昭和基地では貴重な生野菜の食材となっています。また、将来の宇宙食への研究も進められているとのことです。

かつては「モヤシっ子」などと言われて、色白でヒョロヒョロした「不健康の代表」の代名詞となっていましたが、実力は異なるようです。低カロリーのわりに、ビタミン類やミネラル類、食物繊維がバランスよく含まれ、栄養価が高いことが認知されてきました。工場生産に近い環境で大量栽培されるので、価格や品質は安定していますが、一方、日光による殺菌作用のない暗所で栽培されるため、細菌類が増殖しやすいという弱点もあります。サッと茹でるか、炒めるか、電子レンジで蒸すことが必要です。

モヤシは天候に左右されず安定的に生産できますので、他の野菜が天候不順によって供給量が減った場合は、モヤシは代替品として生産量が増えることとなり、トレンドとしては増産傾向にあります。しかしながら、生産者数を見てみると、1995年には550社あった生産者は、2022年には110社にまで激減してしまいました。種子をはじめとする様々なコストが上昇するなか、小売価格がなかなか上がりません。機械化などでコスト増を吸収できる生産者以外は、淘汰されてしまっているのです。小売価格を上げられない原因は、モヤシが安定的に供給できるからこそ「特売品」「目玉商品」として活用されており、「いつでも安く買えて当然」という印象が強いためです。

2022年11月7日の日本経済新聞朝刊に全面広告が掲載されました。もやし生産者協会が「もやし生産者の窮状にご理解を!」と訴えるものです。もともと安い商品ですので、少々値段が上がってもいいと思いますが、値付けは小売業者さんが他店舗との競争の中で決めていくのでしょうから、どうなるのでしょう? 消費者としては、今まで以上に「モヤシを食する」ことで、協力しようと思います。

--------------------------------------------‐

もやし生産者協会HP

Kurashiru モヤシ料理レシピ20選