庭にある「バラ」の鉢植えが、秋になったらまた咲いてきました。そう言えば、以前「旧古河庭園」にジョサイア・コンドルが設計した「旧古河邸」を見学に行ったときに、見事なバラ園があって「春と秋の2回、バラフェスティバル」を開催していると、案内していたことを思い出しました。バラというのは「年に2回咲く、お得な花なのかな」と思ってちょっと調べてみました。
バラは品種によって開花の時期や回数に特性があり、大きく分けると「一季咲き」と「四季咲き」に分類できます。まず、「一季咲き」というのは1年に一度だけ花を咲かせるもので、すべての原種バラや、つるバラも一季咲きです。一季咲きのバラの場合は冬の休眠期にたっぷり栄養を蓄えて、春先から初夏にかけてたくさん開花します。もともとバラは、春にのみ咲くのが基本だったのでしょう。一方、「四季咲き」のバラは開花後に剪定を繰り返すことで、40~50日ぐらいの間隔で秋遅くまで花が咲きます。開花の頻度により「返り咲き」や、「繰り返し咲き」と呼ばれることもあります。四季咲きのバラは、剪定で開花時期を調整すれば春や夏、秋に一斉に咲かせることもできるので、バラ園などではこの性質を利用して開花時期を管理しています。
ところで、バラの魅力には花色の美しさや花びらの繊細な表情、優雅な香り、多数の花が一度に咲くなど、さまざまな要素があります。特に「花形」のバリエーションが豊富で、そこに興味をもたれる方も多いようです。花の中心が高く、芯を中心に花びらが渦巻き状に咲くのが「高芯咲き」です。某デパートの包装紙でお馴染みのバラを代表する花形です。「ロゼッタ咲き」は花の中心が高くならず、比較的平たく花弁が放射状に並びます。オールドローズに多い花形です。「カップ咲き」は外側の花弁が内側に少し湾曲して、コロンとしてティーカップのような花形です。そのほか球形に近い「ポンポン咲き」や、花弁がフリルのように波を打っている「波状弁咲き」など多種多様な花形があります。
バラの歴史は古く、メソポタミア文明の遺跡からもバラが発見されました。ギリシャ神話では美の神アフロディーテが生まれたとき、神々がバラの花を創造し彼女の誕生を祝ったとされています。ローマ時代ではバラは貴族の贅沢品とされ、クレオパトラもまたバラを熱愛した一人です。バラの花と香水をふんだんに使った「バラ風呂」や「バラ床」で英雄たちをもてなしたそうです。現代においても、バラは圧倒的な存在感で他の花が到達できない魅力がありつつも、比較的手軽に庭や鉢植えで栽培することができます。しかも品種によっては、春から秋にかけての長い期間にわたって楽しむことができます。是非皆さんも身近にバラを楽しんでみてはいかがでしょう。
(参考)GARDEN STORY