藤野英人氏の「投資家みたいに生きろ」は、ハウツーを超えた人生教本

株を投資して楽しんでいる図 日常生活
日常生活

NISAが始まってから「株」を少しやるようになりました。株や投資信託、株主優待などもひと通り経験を積んで、投資スタイルも落ち着いてきたところです。藤野英人氏の『投資家みたいに生きろ』という本は、株投資のハウツー本ではなく、投資家マインドこそが「より良い人生構築」に有効だという指南書です。 インフレやAI時代のなかで、特に中高年層の行動を喚起し、サラリーマン気質からの脱却と、未来志向の人生設計を推奨しています。

ポートフォリオ

藤野英人氏は投資家らしく、人生を「お金」「スキル・健康」「人間関係」「未来期待」のポートフォリオとして捉え、投資家流に「分散・成長・リバランス」を繰り返して最適化することを提案しています。 「お金」のような直接的な資産以外にも、「スキル・健康」「人間関係」などの目に見えない資産も人生には必要不可欠としています。

「お金」の不安をなくすためには、若いうちにたくさん「稼ぐ」ことと、「支出」を抑制することは当然ですが、元気なうちは「長く働き続ける」こと、収入の一部を「投資」に回すこと、が推奨されています。健康で働くことが出来るうちは、公助に頼らず社会の中で自立するのが人間本来の姿であるとしています。仮に「もう働きたくない」と、労働に関してネガティブな印象があるのであれば、それは好きでもない仕事を体力で乗り切る働き方をイメージしているからでしょう。楽しく、そして「長く働く」ことに加えて、お金に働いてもらう「投資」を加味することで、お金の不安はなくなります。

「スキル・健康」は目に見えない資産です。学びや自己投資によって新たなスキルを得れば、転職や起業で好きな仕事が出来ますし、健康であれば、定年後も長く働き続けることが出来ます。会社関係に偏りすぎない「人間関係」が、地域の縁や趣味仲間、家族との絆などを掘り起こし、将来にわたってのさまざまなリスクをヘッジすることに繋がります。投資家は明るい「未来社会に期待」して投資します。まず、自分自身の明るい未来をイメージし、その実現に向けて「お金」「スキル・健康」「人間関係」に気を配ることが大切です。

投資のエネルギー

投資の成功は、「主体性」「時間」「お金」「決断」「運」の5つの要因によってもたらされます。投資は自分の意志で「主体性」に行いますし、投資家は「時間」を味方に付けます。投資家が何となく「お金」を使うことはなく、企業の可能性や選択肢を厳密に精査し、投資先を「決断」します。そして、投資の世界では「運」の支配があることを理解し、謙虚に努力し、運を引き寄せます。

さて、投資家のように生きるにはどうしたらいいでしょう。まず、「主体性」を発揮するには、本当にやりたいことに真摯に向き合うことでしょう。これまでの人生の選択肢の場面で、主体的な選択をしてきたかの再確認が必要です。次に、「時間」を味方に付けるには「1万時間の法則」の発想が有効かもしれません。1万時間かければ、どんなことでもかなりのレベルに達するといわれていますので、長いスパンで理想の将来像を目指してもいいでしょう。1万時間とは、1日5~6時間を5年間継続することに相当します。そして、「決断」には「損得」「善悪」「美醜」「好き嫌い」の4つの軸があるとされますが、藤野氏が大事にしているのは「好き嫌い」の軸です。感性に基づく直感の軸は侮れませんし、結果がどうであれ、「好き嫌い」で判断すれば、後悔のようなネガティブな感情は生まれません。最後に、自分は「運」がいいと感じている人が、成果を出す確率が高いことは、よく知られているところです。松下幸之助が採用試験で、「君は運がいいか?」と質問して、「運がいいです」と答えた人のみ採用したことはよく知られています。

投資家流の行動

日常の些細な行動を投資家のようにすると、未来は変わるかもしれません。

宣言する

投資の世界では「発信する人」に、人・もの・お金が集まってきます。人生においても、挑戦したい夢や目標があれば、「宣言」をして周囲に伝えることで、「あの人は〇〇をしたい人なんだ」と話が広がります。100人の知り合いは、さらに100人ずつの知り合いとつながり、その先にさらに100人がつながると100万人の人とつながることになります。SNSなどを活用して誰でも自由に発信できる時代にあっては、「宣言」の効果はますます高まっています。

勝負写真

投資家は企業のウェブサイトで、社長の顔写真をチェックします。第一印象が「いい感じかどうか」によって、企業の社会に対する気配りを推し量ります。個人であっても、現代は個人が名前を売る時代ですので、個人であってもプロカメラマンに写真を撮ってもらうのは効果があるはずです。名刺のほか、SNSのアイコンや個人のウェブサイト、プロフィール紹介など様々な場面で使うことが出来ます。ちゃんとした写真は、ビジネスや出会いのチャンスを劇的に増やしてくれるはずです。

表現活動

何らかの表現者となることは、社会とのつながりや評価を得られる点で、人間の承認欲求や自己実現欲求を大きく満足させてくれます。身近なところでは絵画、書道、音楽、文章などがありますし、また最近ではYouTubeやインスタ、TikTokなども人気を博しています。表現活動を継続しているとアウトプット技術が向上して、受け手の反応が良くなることが楽しくなってくるはずです。創作は作り手の立場ですので、いわば生産者と言えるでしょう。受け手の消費者とは異なった視点で物事を見ることができるようになるので、視野が格段に広がります。

挨拶

挨拶を社是に取り入れている企業は多く、広く大事にされている行動規範ですが、実行できていない人も多いようです。元気な挨拶は、周りの人の気持ちを明かるくしますし、自分自身の気持ちも明るく前向きになります。会社を訪問した際に、社員の皆さんが気持ちよく挨拶してくれるかどうかは、その会社の活気を見るバロメーターにもなります。自分から挨拶すれば「元気よく挨拶する人だ」と覚えてもらえますし、周囲を明るくする存在として評価されるようにもなるでしょう。組織の中に居るにしても、個人での生活を送っているにしても、元気な挨拶は良好な人間関係を築く、もっとも基本的な行動なのかもしれません。

ありがとう

「ありがとう」という言葉は好きです。飲食店で店員さんに「ありがとう」。コンビニのレジでも「ありがとう」です。最近はバスに乗っても運転手さんに「ありがとう」と挨拶します。こちらの気持ちを伝えられることや、場の雰囲気を和らげる作用が気に入っています。ところが、投資家の場合はもう少し視点が少し違うようです。お店の人がお客様から「ありがとう」と感謝されれば、うれしく思い、仕事に対するやる気やモチベーションがアップし、ひいては企業業績が向上し、投資に結び付いていくというのです。確かに自分の仕事が感謝されれば「仕事が好き」につながりますので、企業業績にプラスの効果があることは間違いないかもしれません。

まとめ

人生にとって大事な着眼点を「ポートフォリオ」として、「お金」「スキル・健康」「人間関係」「未来期待」の4つに分類し、その実現のために注力するのは、「主体性」「時間」「お金」「決断」「運」の5つとしています。全く共感できますし、オマケのように身近な具体的な行動の気づきについても教えてくれています。この示唆を素直に受け入れ、より素敵な人生を手に入れたいと思います。