庭のある図書館、最新システムと電子書籍サービス

杉並区中央図書館、中庭ウッドデッキからの眺め 日常生活
杉並区中央図書館
日常生活

​自宅からウォーキングを兼ねて少し多めに歩いて「杉並区立中央図書館」に向かいます。この図書館の裏手には「読書の森公園」へとつながる屋外スペースがあり、木々の間にウッドデッキが階段状に配置されていて、館内にはガラスウォール越しに公園を望むカウンター席もあり、館内と屋外がゆるやかにつながる快適な居場所として機能しています。「庭のある図書館」という贅沢は、「用があるから行く」施設から、「居たくなるから行く」場所へと、図書館の意味を変えています。 小川や緑、ベンチやデッキが加わることで、本を開く行為そのものを幸せな風景へと変貌させています。

​機能面でも図書館は進化を遂げています。本の検索や予約はすでにオンライン化されていて、自分のパソコンやスマホで操作できることは当たり前になっています。貸し出しにあたってもカウンターに立ち寄ることなく、自動貸出機に利用カードをかざして、指示された貸出書棚の所定の位置から目的の本を探して、機械に本を読み取らせるだけで完了です。​この自動化は人との接触を避けたい時代の要請に応えるだけでなく、手続きのために列に並ぶ負担を軽減しています。 ​

また、会社近くの「千代田区立図書館」では、紙の本の貸出に加えて「千代田Web図書館」という電子書籍サービスを展開しています。利用は千代田区在住・在勤・在学者に限定されていて、千代田区立図書館の貸出券を作り、インターネットでパスワード登録をすることで利用できます。民間の電子書籍サービスと似た使い勝手ながら、無料で学術書や実用書も含めてアクセスできる点は大きな魅力です。電子書籍なのですが、「貸出中」とか「予約」という状況もあり、紙の本の図書館と似ているところが、なんともユニークです。​公共図書館で電子書籍サービスを導入している自治体は、2024年時点で592自治体に達し、自治体全体の33.1%にまで拡がっています。 既に多くの住民が電子書籍サービスを利用できる環境となっています。​

最近の図書館は、静かな閲覧席に加えて、PC作業やオンライン会議に対応した席、親子向けスペース、イベントスペースなど、多機能な「公共リビング」のような性格を強めています。オンライン予約や電子書籍サービスを組み合わせることで、家で検索し、図書館で過ごし、帰り道の公園でページをめくるといった時間の連続も生まれます。一方で、ウッドデッキや小川、公園に開いたテラスが示すのは、どれだけデジタルが進んでも、「紙の本を持って、居心地のよい場所に身を置く」欲求は消えないということでしょう。図書館の進化とは、最新技術の導入だけでなく、人と本が穏やかに向き合う場所を提供することなのかもしれません。