自分発の「声掛け」が、場を整え、運気を導き、寿命を伸ばす

レストランんでありがとうと声掛けしている様子 日常生活
日常生活

人と人の関係は、驚くほど小さな行為から変わっていくものだと感じます。朝の職場での挨拶や、お店での「ありがとう」といった、ちょっとした声掛けで「場の空気」はやわらぎます。自分の気持ちを伝えるのですが、相手との交流のスタートとも言えるでしょう。あなたと今、この場所と時間を共有していますよと、そっと静かに伝えるサインです。笑顔で声をかけることで、相手の表情はほころび、場の雰囲気が穏やかになり、その和らぎは、やがて自分自身に戻ってきます。人のエネルギーは循環して巡りますので、自分も周りも少し明るく、前向きな気持ちとなります。

自分から声をかけるという行為は、主体的に自分の意志で空気を変える力を発動すること、つまり「自分が今日一日をどう過ごすか」という運命の方向づけをしている、と言っても良いでしょう。自分から動く積極的な姿勢には、確かな力があります。幸福や幸運は、積極的な心持ちの人に訪れますし、言葉には人生を左右する力があるとされます。単なる言葉のやりとりではなく、自分の内側のエネルギーを相手に分け与える、いわば「気の交流」と言ってもいいでしょう。

思想家の中村天風は、「人は自分の発する言葉に支配される」と喝破しています。前向きな言葉を使えば心が明るくなり、行動が変わり、人生そのものが好転していくとしています。また、人を勇気づける言葉、人に喜びを与える言葉を使っている人は、心がけなくても人に幸福を分けている人だと言えるでしょう。考えてみれば、人生とは「どれほど長く生きるか」ばかりではなく、「どんな気をまとって、深く楽しく生きるか」ということかもしれません。つまり、日々の挨拶や声掛けという小さな行為が、人生そのものの「質」を形つくっているとしても過言ではありません。

人の営みは、他者との関わり抜きには成立しませんが、私たちはその関わりを、受動的な立場とする傾向が多いようです。誰かの言葉を待ち、その反応によって一日の気分を決めていく。それが習慣化すると、人生は外的要因に左右される受け身の循環に陥ってしまいます。この循環を変える最も小さな手段が「自分から声をかける」ことで、挨拶や呼びかけは社会的礼儀にとどまらず、自分の内側にあるエネルギーを外界に向けて放つ能動的な行為でもあります。その瞬間に人は受動から能動へと転じ、環境の中で「主体的に生を形つくる」行動者となります。運命は遠い未来にあるものではなく、目の前の一言一動の中に潜んでいるようです。

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中村天風(天風会)HP