サウナに入ると、太ももや腕、お腹に「赤いまだら模様」が現れてビックリすることがあります。これは「あまみ」と呼ばれ、サウナ愛好家の間でよく知られているもので、サウナと水風呂の温度差による身体の反応によるものです。もともとは凍えた手を焚火やストーブにかざして温めた際、皮膚にできる斑点を富山の方言で「あまみ」と呼んでいたことに由来するといわれています。
「あまみ」の原理
「あまみ」とは、腕や足などの皮膚に現れる赤い斑点のことを指し「温熱性紅斑」が医学的な診断名です。サウナで高温の室内に入った後、冷たい水風呂に入る温冷交代浴を行うと、身体は元の体温に戻そうと血管を収縮・拡張させます。このとき普段は閉じている毛細血管が開き、血液の流れが良い部分は赤く見え、冷えて血流が減った部分は白く見えるため、まだら模様が肌に浮かび上がるのです。つまり、血管の拡張と収縮が繰り返されることで「あまみ」が生じます。
「あまみ」の出現は良いサイン
「あまみ」の出現は血流が良くなっている状態を示し、新陳代謝が活発になり疲労回復やリラックス効果が期待できる状態です。サウナ好きの間では「あまみ」が出ることは「しっかりサウナに入れている」サインとして捉えられ、体調やサウナの入り方を調整する目安にもなっています。それ以外にも身体の健康状態を示すサインとして以下のことが分ります。
1.血管の健全性指標ーーー「あまみ」は皮膚の毛細血管が拡張・収縮することで生じるため、血管の反応性が高く、血管の柔軟性や末梢循環の状態が健全であることが分ります。逆に、冷え性や動脈硬化、糖尿病などの血管機能が低下する疾患があると「あまみ」が出にくいことになります。
2.体温調節機能の健全性ーーー「あまみ」は、サウナと水風呂の温度差に対して身体が適切に反応し、体温調節機能が正常に働いているサインとも言えます。体温調節に問題がある場合は、「あまみ」の出方が弱かったり不規則になります。
「あまみ」の出かたで体調診断
1.自律神経のバランスの乱れーーーサウナの温冷交代浴は交感神経と副交感神経の切り替えを伴いますが、自律神経のバランスが乱れていると血管の収縮・拡張がうまく起こらず「あまみ」が出にくいことがあります。自律神経の乱れは、過度なストレスや疲労、生活リズムや環境の変化、睡眠不足などが原因とされます。
2.過剰なサウナ利用や体調不良の警告サインーーー「あまみ」が強く出たり、通常より長く残る場合は、身体に過剰な負担がかかっている可能性があります。特に体調不良時や過度の温冷交代浴は、血管のストレスから肌の斑点が強く出ますので、警告サインとして注意が必要です。
3.毛細血管の働きの乱れや炎症の可能性ーーー「あまみ」は血管の拡張による赤みですが、同様の症状が皮膚炎やアレルギー反応などの炎症でも見られることがあります。したがって「あまみ」が出ている状態が長引いたり、かゆみや痛みを伴う場合は、単なる血行促進以上の皮膚トラブルのサインかもしれません。
まとめ
「あまみ」はサウナの温冷交代浴による血管の拡張・収縮で生じる赤いまだら模様で、血流促進の証拠として健康的な反応です。メリットとしては血行促進やサウナ効果の目安になることが挙げられますが、過度なサウナ利用や体調不良時には肌や身体に負担がかかることもあるため注意が必要です。サウナを楽しむ際は脱水や心臓への負担、ヒートショック、低血圧の悪化、過剰利用による疲労などのリスクを理解し、適切な水分補給と無理のない利用を心がけることが大切です。