北海道の東部、道東の旅の拠点とするには「釧路」が最適でしょう。札幌からは特急列車で4時間かかりますが、釧路空港からは羽田や札幌方面に向けての定期便のほか、季節によっては中部や関西方面への直行便が発着しています。
和商市場
和商市場は、1954年に設立された釧路で最も歴史のある市場で、函館朝市、札幌二条市場と並んで、北海道三大市場のひとつに数えられています。鮮魚店をはじめ、塩干や珍味、青果店、精肉店など約50の店舗が軒を連ねており、市民の台所あるいは観光拠点として親しまれています。JR釧路駅からは徒歩約5分で、アクセスは抜群です。

この市場の名物は、お好みの魚介類をその場で選んで盛り付ける「勝手丼」です。まずは場内の総菜屋さんでご飯を購入し、市場内の店を渡り歩いて好きな具材を探します。各店舗では少量に小分けにされた様々な新鮮具材が並んでいますので、それらを盛り付けて自分好みの海鮮丼を作ります。

市場内にはその場で飲食できるように、テーブルと椅子があちこちにたくさん用意されています。中央パティオの脇には、カキを専門に扱っているお店がありましたので、筆者はそこに釘付けになりました。



カキの大きさを大・中・小から選び、生ガキか蒸しガキかを選択して個数を伝えると、お店の方がその場でカキを開いて提供してくれます。まずは中サイズの生ガキを4個、続いて生ガキと蒸しガキを2個ずつ頂きました。


このお店のカキは、仙鳳趾(せんぽうし)産で、釧路町の東側、厚岸(あっけし)湾の端で育ちます。潮の流れが少しきつい為、牡蠣の身はプリプリっと締まり、殻に対して身が大きいと評判です。強い甘味と濃厚でコクのある味わいが特徴で、火を通しても縮みづらくプリプリのまま食べられることで知られています。

周りを見渡しても、アルコールを飲んでいるお客さんが見当たらないので、お店の方に尋ねたところ「全然大丈夫ですよ、市場内のお土産屋さんかコンビニで売ってます。」とのことでしたので、一杯飲みながらカキを満喫しました。〆はカキ飯です。カキの出汁が効いたご飯が美味しかったな~。

フィッシャーマンズワーフMOO
JR釧路駅から釧路川河口方向に歩いて20分程度のところに、釧路を代表する複合施設「フィッシャーマンズワーフMOO(ムー)」があります。1階には新鮮な魚介類を扱う釧路市場や、お土産店があり、2階には飲食店舗や公共施設などもあるようですが、閉店しているお店も多く、閑散とした印象です。しかしながら、釧路川に面していることと特徴的な外観もあり、釧路を代表する景観のひとつとなっているようです。

建物前の岸壁は漁船の係留場所となっているので、多くの漁船が係留されていました。地元の漁船は水揚げに便利なところに係留しているのでしょうか、ここに停泊している漁船は、宮城県や茨城県を母港とする遠方からきた船たちでした。漁具が満載されている船は、機能的でカッコいいですね、見ていて飽きません。


「フィッシャーマンズワーフMOO」の脇には、幣舞橋(ぬさまいばし)が架かります。1889年(明治22年)に造られたのが始まりで、現在の橋は1976年に完成した5代目にあたるものです。幣舞橋は橋から見える夕陽が美しいことで知られています。

釧路湿原
釧路湿原は、蛇行して流れる釧路川の周辺に広がる日本最大の湿原で、その総面積は220平方kmにもおよびます。国の特別天然記念物のタンチョウをはじめ、貴重な動植物の生息地にもなっており、1967(昭和42)年に湿原そのものが国の天然記念物に指定され、北海道らしい景観が維持されています。「釧路市湿原展望台」までは、JR釧路駅から15㎞程度の距離ですので比較的近いものの、展望台からの眺望では、湿原の様子はよくわかりません。湿原の様子を堪能するには、一周2.5kmの遊歩道を歩くのが良いかもしれません。その際は「熊よけの鈴」を貸してくれるそうです。



釧路湿原の空撮写真を見ると、蛇行する釧路川、湿原の広大さがわかります。

道東へのアクセス
札幌駅から列車
札幌駅から「特急おおぞら」で釧路駅に向かう列車内で、面白いパンフレットを見つけました。北海道の大きさを理解するために、本州の地図に北海道の地図を重ねた比較図です。札幌から釧路に向かうということは、概ね名古屋から東京まで行くことに相当するようです。新幹線ですと1時間半で行きますが、北海道では在来特急の単線区間ですから、4時間かかるのも納得です。

札幌駅を出発する際に「アクシデント発生」です。帯広~釧路間は、先日の大雨の影響で線路に被害が生じているため不通となり、帯広から先は「バスでの代行輸送」となるようです。急ぐ旅ではありませんし、列車とバスの両方の車窓を楽しめるので、ちょっと得した気分です。

札幌駅構内にはコンビニや売店がなく、弁当販売も改札外の構内に露天が出ている程度です。繁華街からアクセスする南口にもコンビニは見当たりません。駅構内を通り抜けた駅の北口に出ますと、すぐ目の前にコンビニがありますので、必要なものはそこで買い入れてから、列車に乗り込みましょう。

帯広駅で「列車代行バス」に乗り換えです。列車の切符を見せてバスに乗車します。JR職員も同乗して、高速道路を使ってノンストップで釧路駅に向かいます。乗り換え時間は20分とってあり、バス内にトイレがなく、約2時間かかることも事前にアナウンスされていました。

列車に比べると高速道路の方が、比較的開けた場所を走行するようです。北海道らしい気持ちの良い景色が続きます。

バスが釧路駅に着いた際は、正面ロータリーではなくて、ホームの端っこの駅舎裏口にバスが横付けされます。そこから一旦、列車のホームに入って、ホームから切符を出して改札を通り、駅舎の外に出る手順です。代行輸送のバスは初めて乗りましたが、面白い手順を踏むのですね。

釧路空港から飛行機
飛行機は「ANA」派なのですが、北海道の路線では「AIR DO」の共同運航便となることもあります。「AIR DO」には初めて乗りましたが、ちょっとしたサービスが行き届いていて、良い印象を受けました。ドリンクサービスでは、カップに蓋が付けられていて、受け渡しの時にこぼれてしまう心配をなくしています。また、そのカップには「機内Wi-Fi」で各種エンターテイメントを楽しむ手順が書いてあって、分かりやすくスムーズに利用することが出来ました。


まとめ
レンタカーを借りて、屈斜路湖、摩周湖方面に向かう拠点として立ち寄った「釧路」ですが、思いのほか面白い体験ができました。なかでも「和商市場」は面白いですね、何時間でも居れそうです。ここで見掛けた観光客を釧路空港でも見かけましたので、皆さん時間調整で立ち寄っているようです。ちなみに釧路空港へのバスは、釧路駅前から飛行機の出発時間に合わせて出ています。所要時間は概ね40分です。
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札幌から釧路、摩周湖、屈斜路湖を巡る道東の旅をいくつかの記事にまとめています。ご興味のある方はお立ち寄りください。



