北海道の東部にある摩周湖、屈斜路湖は、大自然の中に静かにたたずむ

屈斜路湖夕景 旅行
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道東観光

北海道に行くにしても札幌周辺や小樽、あるいは函館などがメインとなって、なかなか道東方面にまで足を延ばすことは多くないかもしれません。たまたま新聞のコラムで「屈斜路湖畔ペンション」の食事温泉が紹介されたこともあって、道東の「屈斜路湖」と「摩周湖」周辺を観光してきました。

摩周湖と屈斜路湖 周辺マップ
屈斜路湖、摩周湖、周辺マップ

札幌での用事を済ませて「特急おおぞら」で釧路に向かいますが、所要時間はおおむね4時間かかります。北海道は地図で見た感覚以上に距離があり、時間もかかります。

北海道 都市位置図

釧路でレンタカーを借りて一般国道を北上し、1時間半で屈斜路湖周辺に着きます。広野のなかの一本道で信号はほとんどなく、通行車両も少なく単調な運転が続きます。

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摩周湖

今回の旅で一番感動したのは「摩周湖」です。大自然の中に、物音ひとつせず静かにたたずむ荘厳さに、深い感動を覚えました。摩周湖が急に深くなっていることと、その透明度から青以外の光の反射が少なく、よく晴れた日の湖面の色は「摩周ブルー」と呼ばれる青色です。筆者が訪れた際も感動の神秘の青でした。

約7000年前の巨大噴火によって生成された窪地に水がたまったカルデラ湖で、河川の流入・流出がない閉鎖湖であることから、透明度が保たれています。周囲は海抜600メートル前後の切り立ったカルデラ壁で囲われ、カルデラ壁内への立ち入りは一般人だけでなく、マスコミや研究者に対しても厳しく制限されています。 

摩周湖 第三展望台から
第3展望台から北方向を見る

湖の中央に断崖の小島「カムイシュ島」があり、湖の南東端には「カムイヌプリ」(神の山、摩周岳、標高857m)がそびえます。湖内は阿寒摩周国立公園の特別保護地区に指定されており、開発行為や車・船の乗り入れは厳しく規制され、日本で最も高い透明度が守られています。

摩周湖 第一展望台から
湖中央のカムイシュ島と、写真右端の摩周岳857m

1966年に発表された布施明の「霧の摩周湖」がヒットしたことで、摩周湖の知名度は一気に高まりましたが、「摩周湖=霧」のイメージが過度に定着してしまった面があるようです。実際には、夏以外は湖面がはっきり見える日のほうが断然多いとのことです。

霧の摩周湖 の説明ポスター
霧の摩周湖の解説ポスター
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屈斜路湖

屈斜路湖」は、摩周湖の西方30kmくらいのところにあり、大昔に一帯の火山活動や地殻変動で形成された自然湖です。日本最大のカルデラ湖で、冬は全面結氷し御神渡りの現象が見られます。川湯温泉の強酸性温泉水が流れる「湯川」が北東部から流入するため、屈斜路湖全体もph5前後の酸性湖となり、魚類はあまり生息していません。南端からは「釧路川」が流れだし、その下流部両岸には日本最大となる「釧路湿原」を形成し、太平洋に注ぎます。

屈斜路湖マップ
屈斜路湖マップ

砂湯

屈斜路湖東岸の湖畔の道路の中央付近に「砂湯」があります。湖底から温泉が湧き出しており、湖岸の砂を掘ると温泉が湧きますので、即席の足湯を楽しむことが出来ます。駐車場やトイレ、売店があり、砂を掘るスコップやパラソル、チェアーの貸し出しも行われています。

屈斜路湖 砂浜と看板
屈斜路湖 砂湯 砂を掘るとお湯が湧く

夕日が映える位置関係です。屈斜路湖の東岸や南岸は湖岸道路が造られ、わずかに開発はされていますが、周辺の大部分は大自然がそのまま残ります。静寂の中に夕日が沈み、その光が湖面に映る美しさに、満たされた幸福感に浸ります。

屈斜路湖夕日
屈斜路湖 夕日

アイヌ民族資料館

アイヌ民族資料館は屈斜路湖南岸に位置し、アイヌ民族の歴史や文化を学べる施設で、屈斜路湖にあった有力なコタン(集落)を中心に紹介しています。アイヌの人々の暮らしや文化の息吹きが聞こえます。

アイヌ資料館外観
アイヌ資料館外観

コタンの湯

アイヌ民族資料館の近くに、露天風呂「コタンの湯」があります。男女別の脱衣所はありますが、湯船の中は大きな岩はでが男女を分けているだけなので混浴と同じです。また散策路のすぐそばなので、入浴にはかなりの勇気が必要です。湯舟は湖面とほぼ同じ高さなので湖と一体となった絶景露天風呂となり、雑誌やテレビなどでも紹介されています。

和琴半島

屈斜路湖の南側に突き出ているのが和琴半島です。半島を一周する「和琴自然探勝路」は約2.5kmで、30分程度でぐるりと回ることができます。半島の突端には、火山の名残である「オヤコツ地獄」があり、展望デッキからは噴気の上がる様子を間近に見下ろすことができます。

和琴半島 案内図
和琴半島 案内図

サップ、シーカヤック

半島の付け根にあたる部分には駐車場やお土産屋、キャンプ場なども整備されたレジャー拠点となっています。サップやシーカヤックの乗り出し場所にも指定されていて、マリンレジャーのベースにもなっています。

和琴半島 サップを楽しむ人
和琴半島でサップを楽しむ人
屈斜路湖 マリンスポーツポスター
マリンスポーツ ポスター

大露天風呂

和琴半島はいたるところから温泉が湧き出ており、「大露天風呂」も整備されています。大きな三日月形の湯船は、底の玉砂利からお湯がこんこんと湧き出ており、野趣あふれる露天風呂となっています。脱衣所はあるものの完全な混浴で、周囲からの目隠しもありませんので、入浴には勇気が必要です。

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硫黄山

 硫黄山は活火山で、屈斜路湖と摩周湖の中間に位置し、北側の川湯温泉の硫黄泉の源泉となっています。山肌には木々が生えておらず、そこかしこからゴウゴウと音を立てながら噴煙が上がり、噴火口の数は1000以上ともいわれ、周囲には硫黄の独特の匂いが立ち込めています。駐車場から徒歩で噴気口の近くまで進み、目の前で観賞できるダイナミックさが魅力です。

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川湯ビジターセンター

川湯ビジターセンターは、阿寒摩周国立公園のうち、摩周・屈斜路地域を紹介する施設です。明るくきれいな施設で、レストランやショップもあり、観光に関わる情報収集にはとても役立ちました。特に「熊、出没」の情報にはちょっとびっくりしました。「熊は、います」「知っておくべきこと」「出会わないために」「出会ってしまったら」など、かなり真面目に現実的な注意喚起がされています。

ヒグマポスター
「熊 出没」のポスター

この付近の「クマ出没状況」をマッピングしたものです。緑色の2024年に比べて、赤色の2025年の目撃情報が急増しています。目撃情報ですから人間の活動範囲の道路に沿った情報が寄せられていますが、山の中にはものすごい数のクマが生息しているのでしょう、少し怖くなります。

ヒグマ 目撃情報マッピング
熊、出没情報のマッピング
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大鵬相撲記念館

弟子屈町の川湯温泉は、名横綱と称えられる第48代横綱大鵬が、少年時代を過ごした場所です。1961年(昭和36年)に最年少(当時)の21歳で横綱昇進後、以後10年にわたって横綱を務めます。相撲史上に数々の金字塔を打ち立てた大鵬の偉業を後世に伝える品々が館内に展示されています。

大鵬相撲博物館 外観
大鵬相撲記念館外観
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まとめ

道東はアクセスが大変ですが、それだけの価値はあると感じました。「摩周湖」の手つかずの大自然の静かさのなかで「摩周ブルー」と向き合い、「屈斜路湖」の息をのむほどの「美しい夕日」を見ていると、人生観をも揺さぶられるような感動に包まれます。またいつか、再訪を誓う旅となりました。

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札幌から道東にかけての「一連の旅の、別記事」があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。