「砂場蕎麦」は、南千住砂場から室町砂場と虎ノ門大坂屋砂場が暖簾分け

南千住砂場 暖簾 飲食

砂場の歴史豊臣秀吉大阪城築城のころにさかのぼりますが、糀町7丁目砂場藤吉は江戸時代から続く老舗のひとつです。幕末維新当時の第11代当主が室町砂場虎ノ門大坂屋砂場を暖簾分けし、第12代当主が1912年(大正元年)に糀町(現:麹町)から現在の店舗がある南千住に移転し「南千住砂場となり、現在第14代当主が営業を継続しています。

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南千住砂場について

奥州、日光に向かう最初の宿場町として栄えた千住宿の一画を占める南千住の地に、第12代当主が1912年(大正元年)に店を移して現在もその地で営業を継続しています。「ジョイフル三の輪商店街」という昭和レトロ感あふれる商店街の中にあり、純和風木造建築でありながら不思議と周囲の雰囲気と調和した佇まいとなっています。

ジョイフル三ノ輪商店街アーケード入口
アーケード入口

南千住砂場」の第11代当主が暖簾分けした「室町砂場」は1869年(明治2年)日本橋本店が開業し、その後さらに赤坂店が1964(昭和39年)に開業しています。もうひとつの暖簾分け先の「虎ノ門大坂屋砂場」は1872年(明治5年)の開業です。今も残る砂場のルーツは南千住砂場」が最古であり、現在の当主は第14代でしっかりと暖簾を守り続けています。

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南千住砂場の外観

現在の建物は1954年(昭和29年)に建てられた総檜造り木造3階建です。入口ののうえにさらに裳腰のようにがあるのは1階の階高を高く設定しているところからきているのでしょう。連子格子の窓の建具や入口のガラス戸の建具、周りに置かれた植栽などが老舗の蕎麦屋らしい雰囲気を醸し出しています。建物は荒川区文化財に指定されています。

南千住砂場 外観正面
南千住砂場外眼正面

建物側面にも入口がありました。現在は締め切って使用していませんが、かつてはここから2階座敷に上がる入り口だったのでしょう。

木造3階建てですが2階部分で商店街のアーケード屋根と接してしまっています。

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南千住砂場の内観

船底天井で階高も高く開放的な空間です。数寄屋風の空間でとても落ち着く雰囲気です。客席は4人掛けのテーブルが5卓で20名程度を収容するこじんまりとしたお店です。小上がりは鉄道模型のジオラマを置いてあるので客席としては使用していません。昼食時を避けてお邪魔したのですが客足が絶えることなく、根強い人気があるようです。地元の方と「南千住砂場」を目的に遠方から来ている方と半々のように感じました。

南千住砂場 内観 船底天井
南千住砂場内観 小上がり(衝立の向こう)には鉄道模型が展示されています
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南千住砂場のお蕎麦

淡白な感じとコシの強さが甘めのタレと相まってとても美味しいお蕎麦でした。量は少なめですが、出来たての蕎麦を美味しく頂くには時間を置かずに食べられるこれくらいの量の方がいいのかもしれません。とはいえ、隣のお客さんは「ざる」のあとに追加で「かけ」を頼んでいました。やっぱり量が足らなかったのでしょう。

南千住砂場 せいろぞば
南千住砂場 せいろ蕎麦

天ぷらは絶品です。大きなぷりぷりの海老人参ナス水菜サツマイモです。素材の美味しさはもちろんのことパリッと揚がった食感が絶妙です。天ぷらとせいろのセットを頼んだのですが天ぷらも合わせて考えると量的にも十分満腹となりました。

南千住砂場 天ぷら
南千住砂場 天ぷら

年季の入った湯桶に入ってきた蕎麦湯はものすごく濃厚でした。甘く濃いタレに負けることなく味を整え、蕎麦の風味たっぷりの濃厚な蕎麦湯は「もはやひとつの料理と言っても過言ではない」ほどの美味しさです。

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店舗装飾、鉄道模型

店舗内部には「登録商標砂場」の看板がありました。ここが砂場源流なんだな、と思いつつ店内を見渡すと何となく雑然としています。看板下のレジ廻りは種々のメモ等が溢れていますし、外部格子窓の内側にはウイスキーやら写真などが不統一に並べられています。

かつての料理陳列ケースを外から見ると、鉄道模型が展示してありました。もっともその前にある植栽で模型はほとんど見えません。屋内の小上がりにも鉄道模型のジオラマが展示されています。これも衝立で仕切っているのであまりよく見えません。

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まとめ

豊臣秀吉の大阪城築城時に端を発するという「砂場蕎麦」。その流れを汲む最古の店が「南千住砂場」です。今もファンの多い「室町砂場」や「虎ノ門大坂屋砂場」などもここから暖簾分けされて開業しています。「南千住砂場」にお邪魔してみますとお蕎麦天ぷらも最高です。南千住という土地柄と昭和レトロな商店街の中にあるからでしょうか、庶民的気取らない雰囲気に心温まります。また是非訪れてみたいお店です。

食べログ 南千住砂場(砂場総本家) リンク

江戸前蕎麦の別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。