高尾山は東京の西端の平野から山地に変わる場所に位置するため、登山口のすぐそばまで電車が通っていて大変アクセスが良く、標高は599mと決して高くないことが気軽に行ける魅力のひとつになっています。そういう意味では、岐阜の金華山(329m)、徳島の眉山(290m)、福岡の油山(597m)などと同じ魅力を持っているのかもしれません。ケーブルカーやリフトで山頂付近まで気軽に登れる日本屈指の観光地であり、2007年にはミシュラン観光ガイドで三つ星に認定されたことから登山者が増加し、年間300万人となり世界一の登山数を誇ります。
登山ルート
高尾山には様々な登山ルートがあります。電車の京王線高尾山口駅から向かうと、ケーブルカーの駅舎と右手に舗装された1号路が見えますので、ついついその道を登ってしまいがちですが、駅舎の反対側には登山道としての山道の稲荷山コースと6号路があります。1号路は山頂まで舗装道路で、荷揚げや緊急時に車両が通行することもあります。1号路の途中でケーブルカーやリフトの駅を経由し、その後も緩やかな坂を山頂まで登ります。一方、稲荷山コースと6号路はまっすぐ山頂を目指すルートになっています。
1号路は、表参道コースともいわれる標準的な登山ルートです。山上のリフト乗り場の北側を進み、ケーブルカーの山頂駅、薬王院を通って山頂に至ります。道は石畳舗装ですので、土に触れあいながらハイキングするような登山道ではなく、自動車での資材運搬と緊急用にも使われるルートです。ケーブルカー山頂駅までの傾斜はかなりきついですが、その後は薬王院などをのんびり観ながら歩くことができます。
2号路は、ケーブルカーの山頂駅周辺を巡るループルートです。3号路、4号路と接続しています。
3号路と4号路は、2号路を経由して山道で山頂に向かうルートです。1号路に比べ歩く人が少ないため、静かな山歩きが楽しめます。5号路は、山頂直下を周回するルートです。
6号路は、途中に琵琶滝を経由するため琵琶滝ルートと呼ばれます。沢沿いを歩くので夏の暑いときには最適なルートです。
稲荷山コースは、高尾山の南側に伸びる稲荷山の尾根筋を歩くため眺望はよく、尾根にたどり着くまでは登りがありますが、途中の「あずまや」を過ぎると緩やかな登りになります。山頂直下には230余段の階段があり、かなりきついです。
おすすめコース
ふもとの登山ルートの案内板を見ながら思案していると、ボランティアのおじさんが「稲荷山コースは小学生の遠足でも使う位だからこのコースで登って、帰りは1号路の急坂を避けてリフトを使うとヒザが楽だし、今日は天気がいいからリフトから都心を一望できると思うよ」と教えてくれました。
稲荷山コースは尾根筋とは言いつつもあまり展望は開けてはいませんでしたが、所々では気持ちのいい景色を堪能できました。山頂でお弁当を食べたのちは、高尾山で唯一の「吊り橋」を渡ることができる4号路でリフト乗り場を目指しました。静かな山道で森林浴を満喫です。
予定通りリフト乗り場に到着したら、なんと「長蛇の列」です。係員の方に聞くと「40分待ち」とのことなので、そのまま1号路を歩いて下山することにしました。確かに急な坂で、靴の中で足が前にズレるほどでしたので、靴の紐をきつく締め直してゆっくり歩きます。
高尾山の魅力
高尾山の一番の魅力はアクセスの良さと、四季折々の美しい自然を豊富な登山ルートで楽しめることでしょう。また、展望台からは周りに遮る山がないので、都心の街並みを一望できる眺望も大きな魅力です。
山頂からは、富士山がきれいに見れました。元旦早朝には、「初日の出」や「富士山」を見に登山する人でごった返すほどの人出となります。京王線の電車も終日運転、ケーブルカーもリフトも運行しています。また、夏には山頂で「高尾山ビアガーデン」が毎年開催されます。
山頂付近にはビジターセンターや、食堂、売店、トイレ、広場、ベンチなどが整備されています。山頂付近の真紅の美しい紅葉です。
1号路を下ってきて、山麓駅付近でも、まだまだ紅葉の盛りでした。晴天の青い空、逆光の西日が美しい風景です。
高尾山周辺には、蕎麦やカフェなどのグルメやミュージアム、薬王院などの見どころのほか、温泉施設もあります。「高尾山温泉極楽湯」は京王線高尾山口駅に隣接しており、登山のあとの疲れを癒すには最適です。登山客用に大型ロッカーも用意されており、食事処も充実しています。
極楽湯は、敷地内から汲み上げている天然温泉です。源泉温度は26℃のアルカリ単純泉で、全体的にぬるめの温度(40℃)設定です。露天風呂の東屋の架かった湯舟があつ湯(42℃)です。サウナもありますし、外気浴でくつろぐスペースも用意されています。
まとめ
東京の京王線に近いところに住んでいたら、朝に思い立ってからでも行けてしまうほどのアクセスの良さです。高尾山口駅に着いてから、歩いて登っても1時間半もあれば山頂に着きます。途中、四季の自然を楽しみ、森林浴で心を浄化し、山頂で食べるお昼はコンビニ弁当でさえも御馳走です。帰りは温泉で汗を流して、サッパリして帰りましょう。