蒲田駅から東急池上線でひとつ目の蓮沼駅の近くに、創業80年になる「はすぬま湯」があります。2017年にリニューアルオープンした際のコンセプトは「大正ロマン」。道後温泉をイメージした内外装がモダンです。
外観
格子に組まれた木の現しと白漆喰の壁は道後温泉のそれを彷彿とさせます。リニューアルの際にも残された丸い電飾の看板がやさしさと共に懐かしさを醸し出します。道路に面した建物右隅にはコインランドリーが配されています。
建物裏手には銭湯のシンボル「煙突」がそびえています。道路に面した建物隅には電飾の丸看板が据えられ夜の街でも存在感を主張します。
ロビー、入口
木と白漆喰で落ち着いた雰囲気の内装です。ステンドグラスとレトロな電灯、振り子時計で和モダンなテイストが加わり、富士山の絵とベンチに置かれた座布団がまったりとした銭湯の空気を漂わせます。
ロビーの床にある丸い覗き窓は、デジタルサイネージです。銭湯には池と鯉が付き物だった往時を偲びデジタルで池を再現したそうです。季節ごとにコンテンツが変わり、たまにはレアものが出現することもある遊び心に溢れた仕掛けです。
入口とロビーはコンパクトにまとめられ、下足箱のすぐ脇が入口でその先にフロント、ロビーと続きます。
脱衣室
脱衣室の天井は高く、清潔で気持ちの良い空間です。天井近くの壁にはステンドグラスが横に連窓で設置されており、明るくきらびやかな光が差し込みます。
ステンドグラスの枠と、同じデザインモチーフの格天井の木枠が連続して統一感の取れた意匠です。シャンデリアのデザインも主張しすぎていないところが奥ゆかしくておしゃれです。
浴室
浴槽は浴室中央に3つ並んでいます。奥から源泉(冷鉱泉)42℃、炭酸泉39℃、源泉かけ流し水風呂17℃です。若干ぬるめの温度設定ですが、長く入るにはちょうど良い温度です。奥の源泉42℃の浴槽には広い階段状のスペースがあって、足を伸ばして半身浴をすることができます。源泉はナトリウム塩化物泉冷鉱泉で、大田区のほかの黒湯とは少し異なり、淡い黄褐色で透明度が高いのが特徴です。
壁面全体に描かれた見事なタイル絵には滝が流れていて、その水が滝つぼに見立てた石槽に流れ込み、下の吐出口からお湯が流れ出ている演出です。
洗い場は両側に8席ずつで、「丸い鏡」と男湯女湯の境の木の塀に描かれた花鳥風月の「丸い絵」が、小気味よく並んでいます。
タイル絵は男湯から女湯に連続して描かれていて、女湯でも滝が流れています。外壁面にはステンドグラスが配されており、大正ロマンの雰囲気を盛り上げます。
サウナ
サウナは別料金で300円です。手鉤のようなツールをもらって、それでサウナ室の扉を引き開けます。8人も入れば一杯になる小さなサウナ室ですが、さほど混んでいませんでした。温度はおそらく90℃弱でしょうか、ゆっくりと入るタイプのサウナです。
水風呂は源泉かけ流しで17℃くらいです。これもゆっくり入っていられる温度です。
お食事処
ロビーにも一寸した飲み物やスナックなどはありましたが、しっかり食べたかったので外に出てみました。
中華料理屋
駅の改札を出て正面にある珍萬楼という中華料理屋さんにお邪魔しました。晩酌セットが格安でしたので、Bから「餃子」とCから「牛肉とピーマン炒め」を注文です。
餃子はモチモチ系のしっかりとした食感です。牛肉とピーマン炒めは本格中華料理屋の美味しさでした。
追加で「牡蠣の鉄板焼き」を注文です。牡蠣に片栗粉を軽くまぶして、野菜と一緒に鉄板焼きにした熱々料理です。中華料理の炒め物は美味しいですよね。
蕎麦屋
実は事前に調べた際は、「はすぬま湯」に行く途中にある「手打ちそば つくば」にお邪魔しようと考えていました。湯上りに訪れてみると、なんと「本日貸切」の看板が。お蕎麦は次回の楽しみにしておきます。
まとめ
とても気持ちのいい銭湯です。施設がリニューアルされて綺麗なことはもちろんですが、高い天井や天然木と白漆喰、ステンドグラス、花鳥風月の絵などで心が落ち着きます。お店の方のお人柄や常連さん達が醸し出している良い空気が流れているような気がしました。
ローカルな町中華は、安くて美味しくて最高です。次回は是非お蕎麦屋さんを訪れてみたいと思います。
東京の「銭湯」に関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。