地元衆議院議員の計らいで、国会見学会が開催されましたので参加してきました。衆議院の第二議員会館に集合し、セキュリティチェックを受けて議員会館内の会議室に入ります。そこで当日のスケジュールや見学内容の説明を受けて、いよいよ国会議事堂に移動です。議員会館と国会議事堂は、道路を横断する地下通路でつながっていますが、セキュリティーは全く別扱いで国会しかも衆議院限定のパスカードで入場です。衆議院と参議院はそれぞれ別のセキュリティーで管理されています。
外観
国会議事堂は、1920年(大正9年)第19代の原内閣の時に地鎮祭を行い、1936年(昭和11年)32代の広田内閣の時に竣工を迎えましたので、すでに90年近い歴史を有する建物です。威厳に満ちたその外観は、当時の宮内庁技師の設計案が公募により採用され、大蔵省臨時議院建設局が設計しました。建築面積13,000㎡、延べ床面積53,000㎡、正面の幅206m、奥行き88m、高さ20m、中央塔高さ65m、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上3階、地下1階、工期はなんと17年に及びます。外装は3種類の花崗岩を使った石積みで、正面から見て左翼が衆議院、右翼が参議院です。

衆議院本会議場
本会議が開かれるところで、正面中央の高い椅子のある席が議長席、その左隣が事務総長席です。議長席を中心として左右にそれぞれ2列の席があり、前列は国務大臣席で内閣総理大臣席は左側の議長席に近いところです。議員の席は、議長席に向かって左から右へ所属議員数の多い会派から、会派別に座るのが慣例となっています。議員席の部分に敷きこまれた赤絨毯は神聖なものとされ、議員以外に国民の負託を得ていない者が踏むことは許されず、例えば速記者たちは速記席脇の地下通路を通って出入りしています。

国会議事堂の建設にあたって、使用する資材は純国産を貫き石材や木材などは全国から名産品や銘木が集められ、その他資材も最高級品が使用されています。ただし、技術的な理由からステンドグラスと国会内郵便ポスト、マスターキーシステムのドアノブに限って、海外製品が使われています。

御休所
議事堂正面から中央広間を通り中央階段を上がると、天皇陛下の「御休所」があります。陛下は、国会が開会される日に御休所にお入りになり、両院の議長と副議長が陛下に謁見します。この部屋の造作は、総檜造の本漆塗り、シャンデリアは水晶を使用するなど材質や装飾は議事堂の中でも特に匠を凝らした華やかなものとなっており、この部屋の造作には総工費の1割が費やされています。

議事堂内部
議事堂内部には、内閣総理大臣室や両院議長室をはじめとする主要室数が390室あります。内部は大理石とカーペット、シャンデリアの豪華な造りです。


中庭
衆議院・参議院それぞれに中庭が設けられており、採光を得るとともに池が設けられています。これはかつて馬車で登院する議員が多かった時代に、馬の水飲み場として使われていました。また池の中央の唐草模様の金物の部分は、氷を投入して冷気を造り館内に循環させる夏場の冷房装置の熱源としていました。

中央広間
中央玄関を入った先の中央塔真下にある広間は、「中央広間」と呼ばれています。2階から6階まで吹き抜けで、天井にはステンドグラスがはめ込まれています。天井までの高さは32m。この広間には、議会政治確立に功労のあった伊藤博文、板垣退助、大隈重信の銅像が三方に立っています。



食堂、売店
議事堂内部には食堂があります。重厚な木製の内装にカーペット敷きで、議事堂の雰囲気とマッチした落ち着いた造りです。議員紹介の見学会でしたのでメニューは皆さん一律で、名物カレー(950円)となりました。

付属棟部分には、売店やコンビニ、牛丼店など便利機能のお店もありました。牛丼の吉野家では国会議事堂限定の「黒毛和牛重1,577円(税込み)」がありました。さすが国会議員さん向け高級バージョンですね。

売店では見学者のお土産用に「国会議事堂限定お菓子」や「石破総理饅頭」、その他「国会見学記念グッズ」などが数多く販売されていました。


まとめ
国会議事堂の外観は特徴的でその姿は見知っていましたが、訪問したのは初めてです。重厚な石造りの外観はもとより、内部の大理石、無垢の木材、カーペット、シャンデリアなどで醸し出される雰囲気は、国の最高機関に相応しい趣が感じられます。なかでも「本会議場」は、意外と小さい印象ですがその荘厳な雰囲気には圧倒されました。民主主義を機能させる最も崇高な場所として、これまで多くのドラマを繰り広げてきた「場所の気」を感じるようです。また、陛下の「御休所」に総工事費の1割を費やしていることが、当時の国民の陛下を敬う気持ちを雄弁に語っています。歴史の証人とも言える「国会議事堂」を是非一度見学してみてはいかがでしょう。