標高約1,000m級の峰々に囲まれた山上盆地に広がる高野山は、1200年前に弘法大師・空海が開創した真言密教の聖地です。世界遺産にも登録されている高野山を簡単にご紹介いたしましょう。
総本山金剛峯寺とは
高野山というと「金剛峯寺」というイメージですが、高野山全体が「総本山金剛峯寺」と言われ、特に「壇上伽藍」と「奥之院」は2大聖地として信仰を集めています。山内に点在するお寺は、117寺院にものぼり、内51の寺院が宿坊として一般の参拝者が宿泊することができます。
弘法大師・空海
弘法大師・空海は、774年讃岐国(香川県)で生まれました。804年唐(中国)に留学して真言密教の最高権威(第七祖)恵果阿闍梨(けいかあじゃり)に出会い、その正式な継承者(第八祖)となり806年に帰国しました。816年高野山に金剛峯寺を創建したのち、835年同山にて入定(にゅうじょう、逝去)し、今でも高野山を守り続けています。
壇上伽藍
「壇上伽藍」は弘法大師・空海が高野山を開創された際に、真っ先に整備した場所です。空海が実際に土を踏みしめ、密教思想に基づく塔・堂の建立に心血を注いだ真言密教の根本道場とされています。
金堂
「金堂」は、高野山開創当時、空海の手により壇上伽藍に次いで建設されたお堂です。平安時代半ばから高野山の総本堂として、重要な役割を担っています。現在の建物は7度目の再建となり、入母屋造り鉄骨鉄筋コンクリート造で、1932年(昭和7年)建立されました。この「金堂」が一山の総本堂で、高野山の重要行事のほとんどは、ここで執り行われます。
金剛峯寺
「金剛峯寺」は元来は高野山全体を指す名称でしたが、明治以降は、高野山真言宗の管長が住むこの総本山寺院のことを「金剛峯寺」と称しています。境内の広さは48,295坪もあり、1863年に再建された主殿のほか、奥殿、別殿、新別殿、阿字観道場、経蔵、鐘楼、蟠龍庭(石庭)などがあります。
主殿の屋根の上にある天水桶は普段から雨水を溜めておき、火災が発生した際に火の粉が飛んで屋根が燃えないように桶の水をまいて、類焼を食い止める役割で備えられています。
奥の院
「奥の院」は、壇上伽藍とともに高野山の信仰の中心であり、弘法大師が入定(にゅうじょう)している聖地です。一の橋から御廟まで約2キロメートルの参道には、樹齢1,000年におよぶ杉木立がそびえ、皇族、諸大名をはじめ、文人や庶民にいたるまで、あらゆる階層の人々の墓石や祈念碑、慰霊碑が、約20万基を超え立ち並んでいます。民族や宗教の違いに関わらず全てを受け入れる寛容さは、高野山が1,200年継承してきた精神であり、その魅力となっています。
写真出典:高野山 奥之院 (otent-nankai.jp)
宿坊体験
117の寺院のうち51の寺院が宿坊となっており、一般の参拝者が宿泊することができます。宿坊では「写経」や「阿字観(あじかん、瞑想法)」のほか、朝から読経や礼拝のお勤めをする「朝勤行(あさごんぎょう)」や護摩木を焚いて祈願する「護摩祈祷」などの修業体験をすることができます。宿坊というと厳しく質素なイメージがありますが、綺麗で豪華な和風旅館風の宿坊や温泉がある宿坊、広くて立派な庭園や歴史文化財の鑑賞などができる宿坊も多いようです。食事は精進料理となりますが、お酒も大丈夫ですのでご安心を。
アクセス
大阪の南のターミナル「なんば」駅から南海電車特急で「極楽橋」駅まで約90分、急行で約110分です。「極楽橋」駅から「高野山」駅まではケーブルカーで約5分です。「高野山」駅から高野山市内へはバスで約10分~20分程度、終点「奥の院口」バス停までは約20分くらいです。見どころは尽きませんが、日帰りでも十分楽しむことはできます。
まとめ
世界遺産・高野山にはさまざまな魅力に満ちています。標高800メートルの弘法大師・空海が開いた真言密教の聖地であり、日本最強のパワースポットとも知られ、戦国武将や歴史上の有名人のお墓を巡ることもできます。高野山は何度訪ねても空気感が独特で、もっと深く高野山を感じたい気持ちになります。特に高野山の「奥之院」に足を踏み入れると、張り詰めた気を感じることができるかもしれません。是非、一生に一度は訪れてみたいものです。
奥の院御供所で授与されるお守りです。散華(散華、花を散布する)の形をしたカード型のお守りで、金メッキが施され弘法大師空海の座像がデザインされています。
大阪から高野山に向かう途中の「天見温泉南天苑」の記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。