温泉の酸性とアルカリ性、泉質、浸透圧などの区分について整理してみた

草津温泉湯畑アップ 温泉

草津温泉熱いお湯も刺激的でしたが、目の粘膜がヒリヒリするほどの酸性の強さにも驚きました。そこで温泉お湯の種類について、様々な基準で区分されていますので、それらをまとめて整理してみました。

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水素イオン濃度

酸性とかアルカリ性というph値での区分です。下の一覧の通り数値の大きいものがアルカリ性、小さいのもが酸性となります。

  1. 強アルカリ性 ph10.0以上
  2. アルカリ性    8.5以上   10.0未満
  3. 弱アルカリ性   7.5以上    8.5未満
  4. 中性       6.0以上    7.5未満
  5. 弱酸性      3.0以上    6.0未満
  6. 酸性       2.0以上    3.0未満
  7. 強酸性      2.0未満

アルカリ性のお湯

火山の影響の少ないところで地中深くボーリングして汲みあげていることが多いようです。トロトロ、ヌルヌルしていて化粧水のような肌触りで美人の湯などといわれています。皮脂の汚れや油分を落とすクレンジング効果もありますが、強アルカリの場合は油分が取れすぎて肌がカサカサになることもあるので注意が必要です。

強アルカリ度No.1は、長野県白馬八方温泉ph11.2です。以前別の記事で紹介した2022年の温泉総選挙うる肌部門全国第1位の東京あきる野市の瀬音の湯ph10.1でした。

酸性のお湯

火山の影響の強いところで地中から熱せられたお湯ガス自噴していることが多い火山性の温泉です。湯量も豊富で白濁していることもあり一般的な温泉のイメージに一番近いかもしれません。殺菌力が強く物質を溶かす力があるので、肌の古い角質を柔らかくして溶かし、表皮細胞を再生したり体の新陳代謝を促す効果があります。入浴時には酸の刺激で肌の敏感な人はヒリヒリと感じることもあるようです。入浴後は肌がツルツルとなります。

強酸度No.1は、秋田県玉川温泉ph1.1です。以前別の記事で「湯治で行きたい温泉」として紹介させていただきました。

草津温泉ph2.0と強い酸性のお湯です。湯量、湯の温度、硫黄分、硫化水素臭など温泉地を代表する名湯です。江戸時代の温泉番付諸国温泉一覧」では東の大関に君臨しています。

諸国温泉一覧 番付表
江戸時代 諸国温泉一覧 東大関:草津温泉 西大関:有馬温泉 
草津温泉 強酸性の注意書き
草津温泉 強酸性についての注意書き

草津温泉に関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。

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泉質

温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量によって決められ、以下のように10種類に分類されています。

  1. 単純温泉   最も多い、肌触りが柔らかく刺激が少ない–下呂温泉、石和温泉、鬼怒川温泉
  2. 塩化物泉   塩分が主成分、無色透明、湯冷めしにくい–熱海温泉、鉄輪温泉、定山渓温泉
  3. 炭酸水素温泉 肌の不要な角質や毛穴の汚れを取るクレンジング効果–川湯温泉、塩原温泉
  4. 硫酸塩泉   含有成分によりさらに細分化、傷や血圧を下げる効果–水上温泉、天城湯ヶ島温泉
  5. 二酸化炭素泉 入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感がある–増富温泉、長湯温泉
  6. 含鉄泉    空気に触れると鉄の酸化が進み赤褐色となる–有馬温泉、長良川温泉
  7. 酸性泉    無色透明、口にすると酸味があり殺菌力が強い–玉川温泉、草津温泉、登別温泉
  8. 含よう素泉  非火山性の温泉に多く時間がたつと黄色に変色する–強首温泉、前野原温泉
  9. 硫黄泉    タマゴの腐敗臭に似た臭いは硫化水素によるもの–日光湯本温泉、小涌谷温泉
  10. 放射能泉   ラドンの微量な放射能免疫力が向上するホルミシス効果–三朝温泉、玉名温泉
煮川温泉説明書き
草津温泉 煮川源泉 泉質は酸性硫黄泉
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浸透圧

人の体液濃度と比較した浸透圧による区分となります。人間の体液の塩分濃度は8,800㎎/㎏ですので、浸透圧が8,000~10,000㎎/㎏を等張泉、8,000㎎未満を低張泉、10,000㎎以上を高張泉といいます。濃度が濃いほうに水分が移動しますので低張泉の場合は温泉の水分が身体に浸透してきます。指がシワシワになるのは低張泉の特徴です。一方高張泉の場合は身体の水分が外に出ていこうとするので脱水や湯あたりを起こしやすいと言われています。

  1. 低張泉    8,000㎎未満
  2. 等張泉    8,000㎎以上   10,000㎎未満
  3. 高張泉    10,000㎎以上

一方、皮膚を通過するのは水だけでなく温泉成分も通過します。特に高張性のお湯は温泉成分が体内浸透しやすいといわれていますが、刺激が強いので皮膚粘膜が弱い人はトラブルの原因となるため禁忌症に記載されます。

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泉温

温泉の分類には以下の通り源泉の温度による分類もあります。

  1. 冷鉱泉            25℃未満
  2. 低温泉   25℃以上  ~  34℃未満
  3. 温泉    34℃以上  ~  42℃未満
  4. 高温泉   42℃以上

体温以下であっても25℃以上であれば低温泉として温泉に分類されますし、25℃未満の冷鉱泉も特定の物質が規定量以上含まれると広義の温泉とされています。

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まとめ

強酸性強アルカリ性のお湯は明らかに個性的なお湯ですので、これらの特徴や効能などについてはある程度の知識を持っているとより一層温泉を楽しめるかもしれません。これとは別に泉質という区分もありますのでこれらを掛け合わせると星の数ほどのお湯の個性があることになります。加えて、同じ温泉地でも複数の源泉を持ちそれぞれのお湯の個性を楽しめるところもありますので、外湯めぐりで、いろんな個性のお湯との出会いを楽しまれてはいかがでしょう。