東京港区白金台というと「シロガネーゼ」という言葉とともに、ハイセンスで高級な街のイメージがありますが、ここに浜松の老舗うなぎ屋「うなぎ藤田」が店を構えます。1892年(明治25年)に初代がうなぎの行商をしたのが始まりで、その後うなぎの養殖場を開設するなどして、現在は4代目が浜松と東京でうなぎ店を経営しています。
外観
ビルのエントランス
うなぎ藤田は、地下鉄白金台駅からすぐのプラチナ通り沿いにあります。センスの良いエントランスの商業ビルの3階に店を構えていますので、プラチナ通りを歩いていてもよほど注意深く見ていないと、うなぎ屋さんがあるとは気付きません。
エレベーターに向かう途中に「うなぎ藤田」の行灯看板とメニューが出ています。ここまで来ても、なかなか老舗うなぎ屋さんがあるとは想像できません。
3階のお店入り口
エレベーターを3階で降りると様相は一変します。エレベーターの前は屋外のポケットパーク的な造りになっていて、その一角に和風のしつらえのエントランスがあり、大きな暖簾が迎え入れてくれます。
店内
店内は落ち着いた雰囲気の洗練された和空間です。大きな窓はプラチナ通りに面しており、季節にはいちょう並木の緑や紅葉が美しいことでしょう。欄間の組子細工は、光と影を織りなす和の伝統美です。
間仕切ることができる奥の個室空間です。内装デザインは統一感をもってまとめられています。
お料理
黒塗りのテーブルにセンスの良いテーブルマットと銀の箸置きで、料理の期待感が膨らみます。突き出しの骨せんべいは、とても香ばしく高温で揚げた感じです、とても美味しかった。
一品料理
うなぎのかば焼きや白焼き、定番の一品料理のほかにも、季節料理の品揃えも豊富でした。
牡蠣の旨煮
大振りの牡蠣を醤油ベースでほどよく煮込んでいます。柚子の香りが爽やかさを醸し出します。
肝の天ぷら
肝焼きが好きでいつもは肝焼きですが、肝の天ぷらがあるということで初挑戦です。肝を素揚げしていますので、肝の苦みが天ぷらの衣に包まれて優しい口当たり、ほろ苦い風味がいつまでも口の中に残ります。
うな重
うな重の「山」が4,800円で「川」が3,500円ですので、安い価格設定です。国産うなぎにこだわっているお店ですが、養殖場をお持ちでしたので原価を抑えられているのでしょう。
蒸してタレをつけて何度も焼くということですので、味はしっかり濃い目の味付けです。好みによってはもっとふっくら仕上がったほうがお好きな方もいるかもしれません。とは言え、最高級のうなぎです、とても美味しくいただきました。
まとめ
老舗のうなぎ料理屋さんといえば、時には古い日本家屋であったり、ビルであっても通りに面して和風の佇まいを醸し出していることが多いですが、物販店舗の商業ビルのワンフロア―で営業しているのは珍しいのではないでしょうか。通りがかりの飛び込みのお客さんは期待できないでしょうけど、お店をご存じの方には隠れ家的な魅力があって、予約も多く入っているようです。明治以来、四代続く老舗うなぎ料理店は、確かな味と良心的な価格で多くの常連さんの支持を得ているようです。
うなぎに関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。