庭にエサ台を置いて、珍しい鳥が来たら喜んでいる程度だったのですが、ある時「日本野鳥の会」が無料で配布している「おさんぽ鳥図鑑」という、身近な野鳥を紹介する小冊子を手に入れる機会に恵まれました。少し野鳥に深入りしそうです。
野鳥の分類
おさんぽ鳥図鑑
「おさんぽ鳥図鑑」は、家の近くで見られる身近な鳥を、大きさで4種類に分けて、全部で24の野鳥を紹介しています。見かけた鳥を、「ものさし」になる鳥の大きさと比べて、何という鳥かの見当を付けるのに役立ちます。ここでは「スズメ型」と「ムクドリ型」の街中(水辺以外)で見られる鳥を中心にいくつか紹介します。
番号 | 大きさグループ | 名前 | 大きさ | 渡り鳥区分 | 特徴 |
① | スズメ型 | ツバメ | 17㎝ | 夏鳥 | 長い尾。燕尾服の由来 |
② | 〃 | ジョウビタキ | 14㎝ | 冬鳥 | 雄は灰色の頭、胸と腹が橙色 |
③ | 〃 | スズメ | 14.5㎝ | 留鳥 | 茶色、ほおに黒い斑点 |
④ | 〃 | シジュウカラ | 14㎝ | 留鳥 | 胸にネクタイの模様 |
⑤ | 〃 | メジロ | 12㎝ | 留鳥 | 目の周りが白。抹茶色 |
⑥ | ムクドリ型 | ムクドリ | 24㎝ | 留鳥 | 足と嘴が黄色。街路樹に大群 |
⑦ | 〃 | ヒヨドリ | 27.5㎝ | 留鳥、漂鳥 | 灰色でぼさぼさ頭、赤い頬 |
⑧ | 〃 | ツグミ | 24㎝ | 冬鳥 | 茶色、胸のまだら模様、白い眉 |
⑨ | 〃 | アカハラ | 24㎝ | 夏鳥、冬鳥 | 胸と腹が赤、地上で虫を探す |
⑩ | ハト型 | キジバト | 33㎝ | 留鳥 | 翼の茶色いうろこ模様 |
⑪ | カラス型 | ハシブトガラス | 56.5㎝ | 留鳥 | つややかな体と太いくちばし |
ちなみに、「お散歩鳥図鑑」で紹介されている全24種は以下の通りです。《スズメ型》スズメ、メジロ、ジョウビタキ、シジュウガラ、コゲラ、ツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、モズ、《ムクドリ型》ムクドリ、ツグミ、アカハラ、カイツブリ、ヒヨドリ、《ハト型》キジバト、カワラバト、カケス、コガモ、キンクロハジロ、《カラス型》ハシブトガラス、ハシホソガラス、トビ、カルガモ、アオサギ、以上
身近な野鳥
スズメ型
①ツバメ(夏)
燕尾服の由来となった長い尾を持つお馴染みの鳥です。南の国からやって来る渡り鳥の代表で、4月に来て繁殖をしたツバメは、10月に台湾を経由してフィリピンやマレーシアに渡り、越冬する事が知られています。
②ジョウビタキ(冬)
オスは頭が銀白色、顔は黒色、腹は赤茶色。メスは体が灰色味のある茶色。翼に白斑があります。冬鳥で、積雪のない地方で越冬し、平地から低山の農耕地、住宅地、公園、河原などに生息します。
③スズメ(通年)
短くて太いくちばしで草の種子などを食べます。日本中あらゆるところに生息している馴染みのある野鳥です。
④シジュウカラ(通年)
ほぼ全国に分布しており、平地から山地の林、住宅地でも見ることが多い野鳥です。木の穴に巣をつくりますが、人工的な狭い穴にもよくつくります。
⑤メジロ(通年)
全国の平地から山地の林にすんでいます。特徴は、目の周りの白い羽毛のフチドリと、からだの鮮やかな黄緑色です。花の蜜が好きで、エサ台に砂糖水やジュースを置くと、よく飲みに来ます。
ムクドリ型
⑥ムクドリ(通年)
全身は褐色、頭は灰色がかった黒色で、目の周囲に不規則な白斑があります。くちばし、足は黄色です。繁殖が終わると大群になり、駅前のロータリーや街路樹並木などに集まっています。
⑦ヒヨドリ(通年、国内で移動)
ボサボサ頭で、全体が灰色に見える色彩の鳥です。虫や草の葉、芽も食べますが、花の蜜や果実が大好物で、花が咲くと蜜を吸いにやってきます。
⑧ツグミ(冬)
10月頃シベリアから渡ってくる冬鳥の代表です。水田の刈跡、畑地、草地、河原など広々とした背の低い草地にすんでいます。
⑨アカハラ(夏、冬にも)
明るいひらけた林の地上でミミズや昆虫のえさをとり、冬は暖かい地方の平地へ移動します。一般的には夏鳥ですが、冬になると海外から渡来してくることも確認されています。
渡り鳥の習性
野鳥の多くは渡り鳥で、季節の応じて移動します。移動の時期や地域、あるいは移動しない習性などで、以下の5種類に分類されます。
- 夏鳥ー春に日本に来て、繁殖をして、秋に東南アジアに渡っていく。
- 冬鳥ー秋に日本に来て、越冬して春にシベリアに渡っていく。
- 旅鳥ー日本を通過して、渡っていく。
- 留鳥ー渡りをせずに、日本に留まる。
- 漂鳥ー日本の中で、夏は山、冬は草地に移動する。
渡り鳥がなぜ危険を冒してまで長い距離を移動するのか、向かうべき方向や飛行中の現在位置をどのように認識しているのかは、現在も研究が進められています。エサの豊富さやライバルの数と、移動に伴う消費エネルギーのバランスを勘案して、「渡り」をしていると考えられています。また位置判断については、太陽や星との位置関係や、あるいは地球の磁気を感知しているとも言われています。ちなみに3000㎞もの長距離を飛ぶためには、脳の半分を休ませる「半球睡眠」を活用して、飛行していることがわかっています。
エサ台と巣箱
エサ台
エサ台は自作しようと思いましたが、屋根を付けたり、どの方向からも食べれるようにしたり、エサの補給ができるように、などと考えると面倒になってきたので、市販のものを購入しました。接着が弱く、部材が外れたりもしましたが、その都度ボンドで付け直して、ペンキを塗ったりして今も元気に活躍しています。コンクリートブロックの上に少し大きめの板を置いて、その上にエサ台と水を入れた鉢皿を並べて置いています。
価格:1940円 |
巣箱
最近は、老木や大木が減ってきたことから、鳥たちの住宅難だそうです。巣箱の設置は大きさや入口の寸法、入口から巣箱の中の底面までの距離が野鳥ごとに異なっているそうで、製作にあたっては、エサ台よりはちょっとハードルが高そうです。専門家による寸法や作り方の紹介もありますので、ご興味のある方は、参考にしてください。また、既製品も安く販売されているようですので、そちらもご紹介しておきます。設置時期は繁殖前の秋から冬が良いようですので、今シーズンから設置してみようかと思います。
参考情報
日本野鳥の会
日本野鳥の会は「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝える活動をする自然保護団体です。普及活動にも積極的で、私も旅行中に立ち寄った「道の駅」でもらったリーフレットから、野鳥の世界への興味が湧いてきました。
サントリー
50年以上前の、1973年からサントリーは「愛鳥活動」を展開しています。自然とともに生きる企業として、野鳥を環境維持のバロメーターとして、野鳥が住める環境を守る活動をしているとのことです。同社の「愛鳥活動」のHPはとても見やすく、参考になりますので皆さん是非ご覧になってください。
双眼鏡
日本野鳥の会でもおすすめの双眼鏡を紹介しています。倍率は8倍か10倍。見掛け視野60°以上の広い視野で、明るく見える対物レンズ30㎜のものが紹介されています。おすすめのニコンモナークM7が、43,000円、予算を抑えたプロスタッフP7が、20,000円です。ちょと高いですね。
筆者は、海峡を通る船を見るのが好きで、双眼鏡を持っています。ヴィクセンのGEOMA、8倍で見掛け視野47.5°、対物レンズ25㎜ですので、上記のものより一段劣る性能ですが、10,000円未満でした。そこそこ明るいですし、軽いのが気に入ってます。重さは300gですので持ち歩くのが楽です。ちなみにニコンのプロスタッフP7は485gあります。
また、双眼鏡を選ぶ際にぜひ注意しておきたいのが、アイレリーフです。接眼レンズから目が離れても見える距離を示していますが、メガネをかけている方は、アイレリーフ15㎜以上のものを選ぶ必要があります。
まとめ
鳥たちのようすに興味をもつと、見かけた野鳥の名前がわかったり、鳥の鳴き声を聞き分けたり、季節の移り変わりを感じることができるようになります。バードウォッチングを通じて、野鳥のくらしと、そこにある自然に気づくことは、すごく素敵で楽しく、生活に彩りを与えてくれることと思います。