九州を代表する温泉地として名高い大分県・由布院。美しい由布岳に包まれた豊かな大自然や至福の温泉など、のどかな風情を体感できる旅先です。お気に入りの「別府・鉄輪温泉」向かう途中に立ち寄って一泊してみることにしました。
アクセス
羽田空港から福岡空港まで飛行機で、そこから高速バスで「由布院」に向かいます。天気は快晴で途中眼下に初夏の富士山と河口湖がくっきりと見えました。飛行機は進行方向左側のA席のほうが、景色がいいことが多いのでおすすめです。福岡空港に到着後、国際線ターミナルまで無料の連絡バスで移動します。天神バスセンターを出発した高速バスは、博多駅を経由して空港の国際線ターミナルに併設されているバスセンターに立ち寄ります。空港のバスセンターは大きくてまだ比較的新しいようで、九州各地へ向かうハスが頻繁に出発していました。なるほど外国人の観光客には、バス移動が便利だから国際線ターミナルに併設されているのね、と妙なところに納得です。


由布院
福岡空港バスセンターから約1時間40分で由布院に到着です。駅前からまっすぐに伸びる駅前通りの先に由布岳がそびえます。標高1,583mの円錐形の独立峰で「豊後富士」とも称されています。もうひとつの由布院を代表する景観は「金鱗湖」です。河川の流入のほか湖底から温泉と清水が湧き出しているので、その温度差により秋から冬の早朝には湖面から朝霧が立ち上がる幻想的な光景を見せてくれます。由布院駅から5分ほどの場所にある「湯の坪街道」は、大分県の特産品を扱う土産物店をはじめ、スイーツやグルメ、雑貨店など数多くの個性的な店が軒を連ね、由布院散策の「メインストリート」といえる場所です。若者や外国人向けのお店が多い中、素朴な焼き鳥を売っている「焼き鳥家」がありましたので店先のベンチで休憩です。向かいのワインショップで、ビールやハイボールを調達できるのは「ナイス」です。
ちなみに、由布院と湯布院の二つの表記が混在していますが、明確な使い分けはないようです。もともと由布院町という地名があり、湯平町と合併したことから町全体を指す場合に湯布院を使うことが多いようです。



地元共同湯
乙丸温泉は、駅前通りを少し歩いたところにある共同浴場です。建物は立派ですが2階は地域の公民館として利用しているようです。玄関を入ると薬師如来が祭られていて、入浴料200円はその賽銭箱に入れます。石鹸が備え付けられていませんので、用意がない人は30円でチビ石鹸を購入します。受付のおば様から「ちゃんと石鹸で洗ってから湯船に入ってね」と言われますので。源泉温度58℃、弱アルカリ性ph8.3、低張性温泉。




にぎやかな湯の坪街道から、一歩奥に入ったところに共同浴場「湯のつぼ温泉」がひっそりと佇んでいます。こちらは普通に入口の箱に200円を入れて入ります。源泉かけ流し、アルカリ性単純温泉。


小萩荘
由布院でも「貸し間スタイル」の宿「小萩荘」をチョイスしました。駅前通りをまっすぐ進み、お店がなくなった辺りのちょっと先、由布岳に向かって土地がなだらかに上がり始めた辺りの宿「小萩荘」です。門構えは立派で、ちょっとした旅館の風情です。部屋は開放的で周りには緑が溢れ、由布院町を見下ろすロケーションです。


内湯は明るく開放的でした。窓の外にある露天風呂は湯量減少のため中止でしたが、内湯でも外の気配を感じる野趣たっぷりのお風呂でした。源泉温度は71.3℃、アルカリ性ph9.2、低張性温泉。

八縁
貸し間スタイルの宿ですので、晩御飯は外食になります。観光案内所の方に居酒屋をいくつか教えてもらい、今回お邪魔したのは、由布院駅にほどちかい路地にある「八縁(やえん)」さんです。

突き出しの小鉢です。豆腐と青菜の煮びたしですが、出汁が効いててとてもおいしいく感激しました。これから出てくる料理に期待をもたせる一品です。お汁まで、きれいにいただきました。

豚しゃぶ野菜サラダです。このお店は「ハーフサイズ」の用意があって、一人でお邪魔した時には大変ありがたいシステムです。いろいろなものを食べたいですし、今回も野菜を食べたかったので、ハーフサイズのサラダをいただきました。

「りゅうきゅう」とは、地元でとれる新鮮な魚を醤油やみりん、ゴマ、しょうがなどと和えた大分県の代表的な郷土料理です。この店の「りゅうきゅう」は甘辛く、出汁が利いているのでしょう、食べるのが「もったいない」ほどのおいしさです。

八縁さんのオリジナル料理が「八縁グラタン」です。メニューには、「葛粉と出汁の和風グラタンです」と書いてあるものの、よくわかりません。店主にお尋ねしたところ、小麦粉の代わりに葛粉を使った和風グラタンで、具材には出汁で煮込んだ地元の野菜をたっぷり入れ、仕上げに表面にチーズをのせて焼いたものだそうです。おすすめの一品でしたので注文しましたら、これは「美味い!」。今までに食べたことがない料理です。トロトロになるまで出汁に煮込まれた野菜と、グラタン風味、焼けたチーズと相まって至福の逸品です。これを食べるためだけに「また来たい」と思える料理でした。店主とも話が弾み、再訪を約束して素敵な夜を締めくくりました。


泰葉
由布院には「青い湯」があるといいます。透明な源泉が時間とともに青色に変化するのが特徴で、全国的にも珍しい泉質とされています。今回泊まった小萩荘から比較的近いところにある「泰葉」さんが青いお湯では有名です。宿泊するとかなり高額なお宿なのですが、立ち寄り湯も受け入れてくれていますので、お邪魔してきました。山道をかなり上ったところにあるので、歩くと大変ですし、この先に本当にあるのかな、と思うほどの山の中です。

立ち寄り湯のお風呂は小さく、窓も開かず、視界もありません。同じ立ち寄り湯でも貸し切り湯をチョイスするともう少し開放的なのかもしれません。肝心の「青いお湯」は、確かに青いです。浴槽全体を見ると何となく透明に見えますが、写真のように白い石を背景にお湯を見ると明らかに「青い」です。青色の原因はメタ珪酸で、保湿感をもたらし、入浴後はスベスベ感が残ります。

旅は続く
初めて由布院を訪れましたが、まずは由布岳の存在感がよかったです。円錐形の独立峰でふたつのピークを持ち、少し「可愛らしい」感じもする由布院のシシンボルは、街中から眺めることができます。由布院の温泉は無色透明、無味無臭で、穏やかな優しい温泉が多いようです。また、今回の旅の一番の収穫は、なんといっても「八縁」さんです。頻繁に訪れることができる地域ではありませんが、機会を見つけて再訪の約束を果たしたいと思います。
由布院から路線バスで由布岳の裾を超えて別府に向かいます。ひと山超えると別府市に入ります。別府湾からも由布岳が見えるといいます。次の目的地は鉄輪温泉です。
