北海道で「星形」というと、函館にある西洋式城郭の五稜郭が有名です。外形が星のような五稜形をしていることから命名され、1869年(明治2年)の戊辰戦争の際には、旧幕臣の榎本武揚や新選組副長の土方歳三が、官軍と戦った場所としても有名です。その後「星の形」は北海道開拓使の旗印に採用され、北海道の開発と発展の象徴ともなっていきます。
赤い星「☆」マーク
北海道開拓使
北海道のシンボルとも言える、赤い星「☆」マークは、かつては北海道開拓使の正式な旗印とされていました。1869年(明治2年)に北海道開拓使が設置されたのち、1872年に(明治5年)に青地に赤の五稜星が描かれた「北辰旗(北極星を意味する)」が制定されました。1873年(明治6年)に完成した開拓使本庁舎の屋根には「北辰旗」が掲げられます。開拓使は1882年(明治15年)に役割を終え、北海道は札幌県、函館県、根室県に分割されることとなり、「北辰旗」の使用も中止されました。
北海道開拓使とは、1869年(明治2年)に「蝦夷地」が「北海道」と改称された際に設置された組織で、工業、農業、交通網、警備などの開発を担いました。当時は外国人技師の指導のもと開発を行っており、気候や広い土地の条件が似ているアメリカから多くの技師が招聘されました。マサチューセッツ農家大学の学長「クラーク博士」と、彼の手による「札幌農学校」(北海道大学の前身)が最も有名です。
現在の北海道旗
時代が大きく下り、1960年代になると都道府県の旗を制定する自治体が多くなりました。北海道でも図案を公募し、1967年に新しい「道旗」が制定されました。新しい道旗は、開拓使が使用した「北辰旗」を現代的に表現したもので、地色の紺色は北の海や空を、赤い星を囲む白は光輝と風雪を表しています。
今も残る赤い星「☆」五稜星
赤れんが庁舎
北海道庁は1886年(明治19年)に設置され、1888年(明治21年)には北海道庁赤れんが庁舎(旧本庁舎)が竣工しました。ドーマー窓に赤い星「☆」五稜星が飾られています。なお、赤れんが庁舎は現在改修工事中で、2025年リニューアルオープンの予定です。
札幌時計台
時計台の正式名称は「旧札幌農学校演武場」で、生徒の兵式訓練や入学式・卒業式などを行う中央講堂として、1878年(明治11年)に建設されました。正面妻壁上部に赤い星「☆」五稜星が付けられています。札幌農学校は、クラーク博士の提言により北海道開拓の指導者を育成する目的で、1876年(明治9年)年開校しました。
サッポロビール園
赤レンガの建物「開拓使館」は、1890年に製糖工場として建設され、1965年までは製麦工場として使用され、その後1966年にサッポロビール園として生まれ変わりました。建物や煙突に描かれている五稜星は、北海道開拓のシンボルであるとともに、サッポロビールのシンボルでもあります。
サッポロビールは1876年(明治9年)に開拓使麦酒醸造所として開業して以来、開拓使のシンボルである赤い星「☆」をラベルに受け継いでいます。通称「赤星」は、飲食店でのみ提供されるサッポロのラガービールのブランドです。
サッポロビールでは、時代のニーズに合わせた生ビールの「黒ラベル」を販売しています。こちらはシャープでリッチな感じのゴールドの星です。テレビコマーシャルの「丸くなるな、☆星になれ。」というコピーもいいですよね。
まとめ
北海道開拓使のシンボルであった赤い星「☆」五稜星は、当時建設された札幌時計台はもとより、開拓使が廃止されたあとに建設された、北海道庁赤れんが庁舎(旧本庁舎)にも付けられるなど、北海道の開発と発展の象徴となってきました。サッポロビールでは、今もなお赤い星「☆」五稜星を商品シンボルに採用し続けています。企業CMにある「丸くなるな、☆星になれ。」は、いいコピーですよね。今宵もサッポロビールを飲もうと思います。
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