上高地は長野県松本市にある日本を代表する山岳景勝地です。年間120万人を超える観光客や登山客が、気ままに散策を楽しんだり、本格的な登山に挑戦したり、宿に泊まって星空を堪能したりと、大自然を満喫しています。
上高地全体図
地図の下のほう「沢渡(さわんど)駐車場」方面から、マイカーでの乗り入れは規制されているのでバスかタクシーで上がってきます。「大正池」辺りからがトレッキングのコースになっていて、「上高地バスターミナル」と「河童橋」付近が最も栄えたエリアになっています。その先「明神橋」辺りまでは観光客が多いですが、更に「徳沢」「横尾」となると軽装でトレッキングは可能ですが、人は少なくなってきます。「横尾」から先は槍ヶ岳や涸沢、奥穂高に向かう本格登山の大きなザックを背負った登山家たちが登っていきます。
お手軽トレッキングコース
最もお手軽で景色もよく、上高地を満喫できるのが大正池から河童橋までのエリアです。例えば上高地バスターミナルに着いて河童橋から穂高連峰の山々を眺めたのち、大正池に向かって川沿いや林間コースを散策しつつ「田代池」をめぐり、大正池まで到着すると「活火山焼岳」が姿を現します。その後徒歩で戻ってもいいですし、路線バスに乗車して上高地バスターミナルまでバスで戻ることも可能です。
河童橋
河童橋は1910年(明治43年)に架けられた吊り橋です。その後何度も架け替えられて、現在のものは1997年(平成9年)の架けられた5代目となります。河童橋は上高地のシンボルで、橋の上からは穂高連峰や岳沢、梓川、反対側には焼岳を望むことができる絶好のビューポイントです。上高地バスターミナルからのアクセスもよく、橋周辺は土産物店やレストラン、ホテルが並んでいて観光客でにぎわっています。
上高地バスターミナル辺りから見た河童橋、明神岳、梓川です。見る場所によってさまざまに表情を変える大自然に心が躍ります。
梓川と大正池
梓川は、北アルプスの槍ヶ岳に源を発し南流し、上高地で大正池を形成します。上高地は梓川に沿った約10kmの谷間にトレッキングコースが整備され、まさに大自然に抱かれたと呼ぶのにふさわしい光景が広がっています。
大正池は、1915年(大正4年)の焼岳の噴火で泥流が梓川を堰き止めてできました。立木が水没して枯れた木々が残っています。晴れた昼間も美しいですが、早朝には幻想的な朝もやと夜には満天の星を楽しむことができます。
焼岳は北アルプスの唯一の活火山です。その姿は独立峰と見間違わんばかりに雄々しく、上高地の入り口にそびえ立っています。
コバルトブルーに輝く大正池は上高地を代表する景観の一つですが、実は上流からの堆積物によって年々池底が浅くなっており、現在は人工的に堆積物が除去され現状を維持しています。
支流と田代湿原
ゆったりと流れる梓川本流とは別に、林間のトレッキングコースを進んでいても清流の支流にあちこちで出会います。手つかずの豊かな自然に心が癒されます。
大正池から15分ほど歩くと、突然視界が開けて田代湿原が現れます。原生林のなかにぽっかりと空いた湿原に広がる池は、幻想的な雰囲気に包まれています。季節によって四季折々の彩りを楽しめる人気のスポットとなっています。
帝国ホテル
上高地帝国ホテルは、日本初の本格的山岳リゾートホテルとして1933年(昭和8年)開業しました。現在の建物は1977年(昭和52年)に建て替えられたものですが、スイス・アルプスの山小屋を思わせる赤い三角屋根と丸太小屋風の外観は創業当時の趣を今に伝えています。
上高地帝国ホテルの予約は困難なことで有名です。毎年2月1日の10:00に1年分の予約を受け付けますがなかなか取ることはできません。帝国ホテルのメンバーカード「インペリアルクラブ」に入会すると、会員限定の予約枠やプランがあるので、入会するのもおすすめです。普通のクレジットカードスタイルですので、年会費が1,300円程度かかるだけです。会員になると東京・大阪の帝国ホテルでも宿泊やレストラン、ショップでの割引も受けられますのでお得かもしれません。
アクセス
マイカーで行く場合は、長野自動車道松本ICから沢渡(さわんど)駐車場まで約1時間です。そこでバスに乗り換えて約30分で「上高地バスターミナル」に到着です。バスは途中「大正池」と「上高地帝国ホテル前」に止まります。沢渡駐車場からのバスは、下の地図の「ナショナルパークゲート」から出発しますので、隣接する市営第三駐車場に止めるのが便利です。
ナショナルパークゲートには、バス乗り場、タクシー乗り場、券販売所のほかトイレや売店、レストランなどがきれいに整備されています。
また、新宿や東京からは、上高地バスターミナル行きの直行バスが1日1~3本程度出ています。所要時間は5時間程度で料金は片道1万円強の目安です。 乗り換えをせずに上高地まで行けますので、楽に移動したい方にはおすすめです。
まとめ
都心から距離はありますが、北アルプスの山々を間近に見ることができる、手つかずの自然を満喫できるのは素晴らしいことです。上高地帝国ホテルのサービスは、さすがに日本初の山岳リゾートの歴史を感じるものでした。河童橋周辺や大正池近くにも宿泊施設は多くありましたので、早朝や夜間に訪れたい場所をイメージしつつ、ホテルをチョイスするのもいいかもしれません。