ライトが帝国ホテルで使った「大谷石」採掘場跡は、地下神殿の資料館

大谷資料館 掘削跡赤のライトアップ 歴史建築

フランク・ロイド・ライト旧帝国ホテル本館の建設にあたって採用した「大谷石」は、その軽くて柔らかい性質が、精緻な造形の彫刻に適していたことや、多孔質の独特な風合いが好感されています。「大谷石」は栃木県宇都宮市の北西部で産出しますが、その採石場跡地が「大谷資料館」として公開されていますのでその視察してきました。

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大谷石とは

大谷石は、軽石凝灰岩で栃木県宇都宮市北西部大谷町に東西4㎞、南北6㎞にわたり分布しています。産出量は年間約2万トン、推定埋蔵量は6億トンといわれています。大谷石は層状に堆積しており、一部の層には「ミソ」と呼ばれる茶色の斑点が含まれているため、「ミソ」がないきれいな層に沿って横に掘り進める垣根掘りが多く採用されています。1960年頃までは手掘りで150×300×900㎜サイズの大谷石を一人一日で10本掘削していましたが、その後は機械化で50本/人日にまで効率化されました。

大谷石のサイズの規格は、厚み5寸(15㎝)が基準で、の種類が6寸(18㎝)、7寸(21㎝)、8寸(24㎝)10寸(30㎝)の5種類があって、加えて幅を10寸に固定して厚みを3寸(9㎝)、4寸(12㎝)、6寸(18㎝)、7寸(21㎝)、8寸(24㎝)、尺角(30㎝)のバリエーションがあります。長さは1種類ですべて3尺(90㎝)となっています。

大谷石は軽くて柔らかい性質とともに、耐火性能調湿性能などを有することから蔵や石垣、擁壁、門柱、石窯、駅のプラットホームなどに多く利用されています。

大谷石 サイズ見本
左の数字が厚み(寸、3㎝)、右の数字が幅(寸、3㎝)です
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大谷資料館

操業を終えた採石場跡に残る広大な地下空洞は、かつては陸軍秘密倉庫であったり、中島飛行機の地下軍需工場として利用されたこともありました。坑内の温度は平均8℃前後と涼しいため、政府米などの貯蔵施設としても利用されているほか、観光学習施設として「大谷資料館」が1979年にオープンしています。

大谷石 採掘場跡 内観
大谷資料館内部

非日常的な光景は、映画やテレビのロケーション撮影や、展示会、イベント、パーティの会場としても利用されています。

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大谷寺 国重要文化財 本尊千手観音

大谷寺 外観
本堂内部の壁面に本尊千手観音が彫刻されている

大谷資料館から徒歩7,8分程度のところに大谷寺があります。本尊千手観音像は、810年に弘法大師空海が自ら彫刻したとされ、国の重要文化財に指定されています。

大谷寺 国重要文化財 本尊千手観音
パンフレット
大谷寺千手観音像 出典:大谷寺HP

千手観音像は日本最古の石仏といわれ、高さは約4mあります。作成当時は岩の面に直接彫刻した表面に赤い朱を塗り粘土で細かな化粧を施し、更に漆を塗り一番表には金箔が押され、金色に輝いていたと考えられています。

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屏風岩石材

大谷寺からさらに徒歩10分程度のところに立派な石蔵2棟、堂々たる風格で建っていました。

屏風岩石材 外観 住居棟
西蔵、居住用石蔵
屏風岩石材 外観 倉庫棟
東蔵、倉庫用石蔵

屏風岩石材の東西二つの石造りの蔵は「石の町、大谷」を代表する風格です。写真上の西蔵は1908年(明治41年)に造られた居住用の石蔵で、洋風の意匠で曲線を用いた繊細なデザインが特徴的です。一方、写真下の東蔵は1912年(明治45年)に造られた倉庫で、直線的な力強い印象となっています。当時の店主渡辺陳平氏は「大谷の石材王」とも称された人物で県議、衆議院議員も歴任しました。

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宇都宮餃子

石の町大谷」には、宇都宮駅からバスで行きます。宇都宮といえば餃子ですよね。餃子マップも用意されています。

宇都宮餃子マップ

駅ビルの中の「宇都宮みんみん、ホテルメッツ店」にお邪魔しました。「焼き餃子」と「水餃子」です。

さすがに「石の町、大谷」ですよね。餃子店の内装にも大谷石が使われています。

大谷石の内観装飾
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おまけ

フランク・ロイド・ライト旧帝国ホテルで広くその名が知れ渡るようになった大谷。その功績からでしょうか、大谷資料館の展示室にはライトの写真」「移築された旧帝国ホテルの外観写真」「彫刻された大谷石の内装写真」が紹介されていました。

フランクロイドライトと旧帝国ホテル外観の写真

宇都宮から大谷までの「バス乗り放題と大谷資料館、大谷寺の入場券」がセットになった割引券がありました。

大谷観光バス一日乗車券

東京から宇都宮まで新幹線だと約50分で4,500円。在来線ですと約2時間で2,000円、グリーン車を使うとプラス1,000円です。急がないなら在来線グリーン車もありですね。

大谷資料館HP リンク

大谷寺HP リンク

宇都宮ぎょうざ みんみんHP リンク

フランク・ロイド・ライトに関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。