奇抜で斬新な形や文様の「織部焼」の魅力

織部焼扇型皿 国立博物館 趣味
織部扇形蓋物

国立博物館に企画展を観に行った際に、常設展の日本陶磁史に立ち寄り、織部焼特有の歪みや非対称の造形、鮮やかな緑釉や大胆な文様に驚いたものです。陶器のなかでも一風変わったその魅力を紐解いて、ご紹介したいと思います。

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歴史

織部焼 千鳥蔓草
千鳥蔓草

織部焼は、17世紀初頭に岐阜県美濃地方で誕生した陶器で、千利休の弟子である茶人「古田織部」が好んだ焼き物であることから、「織部」の名前がついています。陶器の名称に地名ではなく個人名がついているのは非常に珍しいこととされています。織部は器の変形や文様の色調の多彩さが特徴で、「破調の美」と呼ばれる独自の美意識が好感され、現代でも多くの陶芸家によって作られ続けています。

織部焼 角皿 国立博物館蔵
織部脚付角鉢 東京国立博物館
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特徴

織部焼 持ち手付き盛皿
持ち手付き盛鉢

織部焼の特徴はいくつかありますが、①そのひとつが「大胆なデザイン」です。一般的な対称で整った美しさとは異なり、意図的な歪みや非対称、独創的な形状や装飾が積極的に取り入れられています。②ふたつ目は「大胆な絵付けや文様」です。市松模様、格子、抽象的な線や点、風景や動植物など、自由な発想で描かれた装飾が施されています。③三つ目は「鮮やかな色彩」です。特に深い緑色の「織部釉」や、黒・赤などの釉薬を大胆に使い分け、色彩のコントラストが強調されています。④四つ目は「個性の重視」です。型を使って大量生産されますが、個々の造形に微妙な変化を加え、同じ形のものはほとんどありません。文様も一点一点異なっており、作陶家の個性が尊重されています。

織部変形向付
織部向付
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魅力

織部焼 変形向付 デザイン
抽象文様

織部焼の魅力は、茶人「古田織部」の美意識や、桃山時代の自由革新的な芸術風潮の影響を強く受けている点でしょう。従前の型にはまった美しさを超越し、個性創造性が開放された独自の美意識は、「織部好み」と呼ばれ、骨董愛好家や料理家にも多くの支持者がいるようです。現代においては茶道具だけでなく、日常で使う食器や花器などの装飾品としても愛用され、料理や空間を引き立てる際立った存在となっています。

織部焼 千鳥向付
千鳥型向付
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観たり、買ったり

織部焼 菱形向付
菱形向付

織部焼の名品を「鑑賞する」には、次の施設がおすすめです。①古田織部美術館(京都市北区):古田織部ゆかりの茶道具や織部焼が常設展示されています。②多治見美濃焼ミュージアム(岐阜県多治見市):美濃焼の歴史や織部焼の名品を鑑賞することが出来ます。③東京国立博物館(東京都):常設展や特別展で織部焼を鑑賞することが出来ます。

織部焼 変形向付 5客
変形向付5客

織部焼の商品を「購入する」には、次の施設がおすすめです。①織部ヒルズ(岐阜県土岐市):多くの窯元やショップが集まり、現代の織部焼を購入可能です。作家作品から日常使いまで幅広い商品が揃っています。②オリベストリート(岐阜県多治見市):陶器店やアンティークショップが建ち並び、織部焼の新作や古作を探し歩く散策を楽しむことが出来ます。

オリベストリート 散策マップ
オリベストリート散策マップ

織部ヒルズ HP

オリベストリート HP

美濃焼伝統工芸品協同組合HP 織部

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まとめ

独自の世界観を持つ織部焼はとても魅力的な存在です。名品を美術館やギャラリーで鑑賞するほか、日常の食卓で食器として使ったり、その優れたデザイン性はインテリアのアクセントになる花器や置物にも適しています。是非身近なところで織部を取り入れてみてはいかがでしょう。

織部焼 茶碗 現代作家 池田省吾
現代作家(池田省吾)の織部茶碗

池田省吾HP

ウィキペディアHP 織部焼