都心から在来線でも1時間半の「湯河原」はアクセスが良く、泉質も穏やかで、混雑していないところも気に入ってます。今回も源泉宿「ゆっくり」さんに泊まって、地元の料理を楽しみました。
源泉宿「ゆっくり」
温泉にこだわる「ゆっくり」では、敷地内の地下300メートルから汲み上げた自家源泉を無循環・無加水・無加熱で浴槽へ入れ、毎日の気温に合わせて源泉の投入量と、扇風機、窓の開閉で温度を管理しています。しかも毎日2回、源泉を総入れ替えしているのですから、温泉好きにはたまりません。

温泉
源泉温度59℃、ナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩温泉、ph8.3の弱アルカリ性、低張性、うすい黄褐色透明、無味、無臭です。入浴時間は午後が15時~24時、午前は翌朝6時~10時で、日帰り入浴は受け付けていません。浴室はふたつあって、午後と午前で男女を入れ替えています。いずれもあまり大きな浴槽でないことから、それぞれの浴室入り口に利用者の「スリッパが何組あるか」わかるようにモニターされていて、客室のある2階と3階の廊下で見れますので、混雑状況を確認してから1階のお風呂に行けるようになっています。


「ゆっくり」の脱衣所に、「泉質10種類の解説」が貼られていました。「ゆっくり」は塩化物泉と硫酸塩泉であることが示されています。ご主人の温泉愛が感じられます。

お部屋
広縁が付いたお部屋で、清潔感があって気持ちよく過ごせます。お風呂・トイレ・洗面は共同で、お布団敷きはセルフです。部屋には冷蔵庫があって、館内に飲み物の自販機と共用の電子レンジがあります。素泊まりが基本ですので、夕食は外食になりますが、朝食はチックインの際にオプションで注文しておくと、翌朝「お魚の定食」を1階の食事処に用意してくれます。ご飯とお味噌汁はセルフでサーブします。

「ゆっくり」の魅力のひとつに、チェックアウト時間が遅く「12時」となっていることがあります。特に急ぐ旅でもなく、何処かでのランチを目指して「ゆっくり」と発つには、ちょうど良い時間です。

焼き鳥「鳥助」
湯河原は「温泉街」として飲食店などが集積している感じではありませんが、「湯河原駅前」や「宮上エリア」、「温泉場中央エリア」などに分散しつつ、数多く点在しています。今回はその中から評判の良い「鳥助」をチョイスしてお邪魔しました。

場所、外観
源泉宿「ゆっくり」からは坂を下っての10分程度ですので、歩いて行くことにします。雨上がりの少し寂れた雰囲気の街も、風情があってなかなかいいものでした。所々には、立派な構えの旅館の明るい灯もあり、湯河原温泉の人気の根強さも感じます。


バス通りを10分ぐらい下って、「理想郷」というバス停付近から路地に入ります。暗い路地を進むと、住宅地の中に「鳥助」さんが見えてきました。


料理
釜めしと焼き鳥が評判の鳥助さんの使用している鳥は、水郷赤鶏という地鶏で、平飼いでミネラル水を与えているため、低カロリー・低脂肪な肉質だそうです。串焼きは評判通りの美味しさです。「白レバーは中がレアですので、早めにお召し上がりください」と親切に声掛けいただきました。




お店の人気ナンバーワンの「鳥助のたたき」は、新鮮な地鶏のささみを湯引きして、自家製ポン酢とワサビ、ネギ、シソ葉、ゴマで和えたオリジナル料理で、経験したことのない味覚が口に拡がります。自家製の「手作り豆腐」も鳥助ご主人の創作で、クリーミーな口当たりと豆腐本来のうま味、塩とワサビがアクセントとなり、デザート的な美味しさです。





メニューには写真や解説がついていますので、わかりやすくなっています。全体的に焼き鳥屋さんとしては少し高めの価格設定かとも思いますが、素材の質を考えると十分納得できるお値段です。どれも大変美味しくいただきました。


その他
梅宮辰夫さんが贔屓にされていたお店ということで、その名残も随所に見られました。ご主人と奥様、奥様の妹さんの3人で手際よく切り盛りされています。お客様への声掛けや、帰りのタクシーの手配など、気配りの行き届いた接客でした。帰りのタクシーの運転手さんと話していると、梅宮辰夫さん以外にも長嶋一茂さんも常連だそうで、人気の高いお店のようです。


ご主人の左耳にはキラキラとしたピアスが光っていて、なかなかダンディです。帰りのタクシーの運転手さんの4年先輩だそうで、「昔から派手でしたもんね!」と、地元情報を頂きました。

周辺情報
惣湯テラス
落合橋のバス停の先に拡がる「万葉公園」は、森の中に渓流が流れる自然豊かな場所です。ここにある「湯河原惣湯 Books and Retreat」は、樹々と川音につつまれた源泉かけ流しの温泉で、日常から少し離れ、ゆっくりページをめくる時間、しずかに豊かに過ごすための場所です。入館人数は適正数に抑えられ、小さな子供の入館は禁止、館内では全員が館内衣で過ごすのをルールとした、大人が贅沢な時間を過ごせる空間です。


ところが、今回も訪れることを楽しみにしていたのですが、2025年8月に神奈川県北西部を襲った大雨の影響で、万葉公園内で倒木が発生し温泉供給設備が被災したため、当面の間休業するとのことでした。残念でしたが、なるべく早い復旧を願っています。
五所神社
バス通り沿いの、鉄道高架の脇には、「五所神社」があります。高さ36m、周囲8.2m、推定樹齢850年の「ご神木」や銀杏の巨木が荘厳な雰囲気を醸し出している神社です。五所神社のご利益は、長寿長命や健康・安全・勝利が叶うとされています。


「ご神木」の巨大さと、天に向かって枝を広げる威容には圧倒されます。


その他の飲食店
源泉宿「ゆっくり」にあった「飲食店マップ」
「ゆっくり」さんのお部屋の中に、「飲食店マップ」が置いてありました。マップの左端に「ゆっくり」さんがあって、バス通りを駅方向に坂を下って行くと飲食店が点在しています。「ゆっくり」さんからの距離が示されていますので、徒歩で行くか、バス・タクシーを使うかの判断に便利です。

沖水産 海鮮焼き
翌日のランチには「海鮮焼き」を選択しました。地元の漁師が自宅で海鮮焼きを食べさせることから発展してきたお店だそうで、自宅を改造した「炭焼き小屋風」の野趣あふれる雰囲気です。魚介類は、すべてが「生」で食べられる新鮮さですが、女将さんが「美味しく食べる焼き加減」をアドバイスしてくれます。

種類は豊富です。海鮮のほか野菜や一品料理、ご飯ものもあります。

まとめ
となり駅の「熱海」とは全く異なる印象の「湯河原」ですが、のんびりとした温泉旅には、ぴったりの街だと思います。穏やかな泉質の温泉をゆっくりと楽しみ、地元の料理に舌鼓を打っていると最高に贅沢な時間が流れます。
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湯河原温泉についての「別記事」があります。ご興味のある方はお立ち寄りください

