なぜ別府温泉?「鉄輪温泉」湯治のひとり旅
今回、別府温泉に湯治の一人旅に来ました。ひとりでゆっくり長逗留して心身ともにリフレッシュしたいなと思って。どうせ行くなら日本一の温泉地で、湯治の街としても有名な別府温泉を訪ねることとしました。東京からですので飛行機代とかかかりますけど、その分湯治宿で共同風呂(これは温泉宿ですから当然かな?)、共同トイレ、共同台所(自炊です、地獄窯で何でも蒸し料理ができる!)、連泊でも部屋の掃除なし、を選択しますとかなりお安く泊まることができます。今回お世話になったお宿は、6畳一間、エアコン、テレビありの二階。縁側というのでしょうか窓際には二人用のソファセットがあって湯煙の街を望めて快適です。
今回お訪ねしたのは別府温泉の中でも、もっとも古くからの別府らしい街並みが残っているといわれる鉄輪(かんなわ)温泉。別府を代表する温泉地のひとつで、皆さんよく耳にする「地獄めぐり」をするところの温泉地です。
別府温泉、なかでも「鉄輪温泉」を堪能しよう!
夕方宿に着いて宿のご主人から紹介された温泉施設にさっそく行ってみました、「ひょうたん温泉」。1922年から続く源泉100%のかけ流しの日帰り温泉施設です。高温の源泉を加水することなく、独自技術の「湯雨竹」という方法で100℃の源泉を47℃にまで落としているそうです。施設構成は豊富で、「大浴場」、「露天風呂」、「家族風呂」、「滝湯」、「砂場」、「蒸し湯」があります。「大浴場」は広く3つの湯舟があり、「露天風呂」は日本庭園風のしつらえで、昼は四季折々の風情を楽しみ、夜は星が輝く空を眺めることができます。「滝湯」は打たせ湯ですね、これだって10本、10人分くらい壮観に並んでいます。
そして今回最もご紹介したいのが「蒸し湯」天然のスチームサウナですね。大量の蒸気で蒸し湯の部屋は蒸気で充満。筆者が入ったときは真っ白で何も見えなかったので「どなたか居られますか?」とお声がけして反応がなかったので、しばらく入り口のドアを開けて蒸気を排出して、やっと中が見えるようになった次第です。入口の表示は50℃前後(高温と低温の二種類ある)でしたが、通常の80℃前後のサウナに8分程度は入っている筆者がものの3分で退散してきました。蒸気の密度が違うんですかね、非常にしっかりとした濃い蒸し湯だと思います。
大量の蒸気はまさに大地の恵み。人工的に作った蒸気ではなくて、地底から様々な養分を吸収した蒸気が直接体に吸収される。こんな贅沢な蒸し湯(サウナ)はないですよね。
翌日、これも宿のご主人から紹介された「鉄輪蒸し湯」に行ってきました。ここはなんでも、鎌倉時代の建治2年(1276年)に一遍上人によって創設されたそうです。ここの蒸し湯は独特で、1メートル四方の狭い入口をかがんで入ると8畳ほどの天井の低い石室があります。ここには石菖(セキショウ)という薬草が敷き詰められており、その上に浴衣やTシャツ短パンを着て寝そべります。
この中もやはり天然の蒸気が充満しており強烈な発汗作用がありデトックス効果のほか、天然の蒸気ですので呼吸器系の疾患にも効果があるとされています。
ところで「サウナの聖地」って何だろう?
近年サウナブームですけれども、そのきっかけはマンガやドラマで人気を博した「サ道」の影響が大きかったですよね。漫画家のタナカカツキ氏が2011年書籍出版、2016年漫画化、2019年ドラマ化されています。同氏は日本サウナ・スパ協会の公認大使でもあります(本物・レジェンドですよね!)。ランキングを毎年発表しているのは、これもサウナ界のレジェンド秋山大輔氏が主宰する(SAUNACHELIN サウナシュラン)。
現在「サウナの聖地」とされているところは、水風呂代わりに雪に飛び込める施設や、ロウリュウに特徴があるもの、「サ道」に登場したところ、薬草の使用、水風呂の水質などにこだわっているところが多いようですけど、何となく今風というか人気を取りに行っている感じがするのは筆者だけでしょうか?
また、そもそも日本におけるサウナの歴史は次の通りと言われています。「1956年のメルボルンオリンピックに射撃の日本代表として出場した許斐氏が、フィンランド代表団が持ち込んだサウナにヒントを得て、昭和32年(1957年)に銀座で「東京温泉」を開業したのが始まりと言われています。
「あれ!」なんかおかしくないですか? 鉄輪温泉の「ひょうたん温泉」は1922年創設。「鉄輪蒸し湯」に至っては鎌倉時代1276年に創設されたものでしたよね。歴史の古さもさることながら、鉄輪温泉をはじめとする別府温泉は、地底から噴き出る「天然の蒸気による蒸し湯」ですのでその発汗作用や美肌作用、呼吸器系や消化器系の機能改善には抜群の効能があると考えられています。
結論
いまのサウナの聖地たちを否定するつもりは全然ないんですけど、別府温泉、特に筆者が体験した「ひょうたん温泉」と「鉄輪蒸し湯」も聖地の仲間入りをさせてあげたいなー!と思いました。東京や大阪からですとちょっと交通費がかかりますけど、例えば福岡に用事があれば福岡から特急電車ソニックで2時間6,000円くらい、高速バスですと2時間~2時間半3,000円くらいですので九州に用事があれば気軽に足を伸ばせると思いますよ。
ところで、別府温泉には「温泉SPAPORT」なるスタンプラリーがあって、88湯のスタンプを集めると「名人の称号と認定証」、「温泉道名人」が刺繍されたタオル、を取得できるそうです。今回の滞在で筆者は8湯廻って「初段」取得から始めようと思います。
鉄輪温泉に関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。
温泉に長期滞在する記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。
草津温泉の共同浴場で熱いお湯の入り方を教わりました。ご興味のある方はお立ち寄りください。