和食 特別展(国立科学博物館)
和食に関する特別展が国立科学博物館で開催されていました。2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された和食について、食材、発酵、だし、昔の食卓、料理の歴史などで分類し、模型を多用してわかりやすく展示されていました。
会場案内図
興味深い展示内容
現在日本で利用されている野菜は、その大半が外国産で渡来時期が多岐にわたっていることや、大根の種類がとても多く各々の形状がとても個性的なことや、酒・味噌・醤油の発酵の違い、卑弥呼や徳川家康の食卓の再現など、興味深い展示が多くありました。
「カニ」を深掘りしてみる
多くの種類の「カニ」の精巧な標本があったので、これを機会にぼんやりと理解していたカニの種類と特徴、産地や旬の時期について深掘りしてみることにしました。
まずは四大カニといわれるタラバガニ、ズワイガニ、毛ガニ、花咲ガニです。
タラバガニ
甲羅の幅25㎝程度で足を広げると1m近くになる大型のカニです。北海道以北のオホーツク海やアラスカ湾などに広く分布しています。身は淡白でプリプリと引き締まって食べ応えがあります。旬は11月~3月の冬の時期です。カニみそは食べられません。分類上はヤドカリの仲間です。
ズワイガニ
甲羅の大きさはオスが10~15㎝程度、メスが8㎝程度です。甲羅に対して脚が長くトゲが少ないスベスベしたカニです。メスは「セコガニ」と呼ばれ卵を好む方に喜ばれます。日本では日本海や北海道で漁獲され、水揚げ場所により名称が異なります。京都北部から鳥取・島根では松葉ガニ、福井では越前ガニ、北海道では北海松葉ガニと呼ばれます。旬は11月~3月の冬の時期。身は甘みや旨みが強く、カニみそは濃厚な味わいで絶品です。
毛ガニ
甲羅全体に毛がびっしりと生えていて、脚が短くずんぐりとした形です。日本では北海道が主産地で、オホーツク海沿岸や太平洋沿岸、噴火湾で水揚げされます。場所ごとに旬が異なるため1年を通じて楽しむことができます。北海道では甲羅幅8㎝以上のオスのみ漁獲が許可されています。身は甘みが強くて柔らかく、濃厚なカニみそは絶品です。
花咲ガニ
甲羅に対して脚が短く全体にトゲがあります。身はしっかりとした甘みとプリプリとした食感が特徴です。日本では北海道の根室沖近海でのみ水揚げされますが、漁獲量が少ないのでほとんどが産地で消費されます。時期は釧路で3月~7月、根室で7月~9月の春から秋にかけてが旬となります。
花咲ガニは、オスとメスで大きさの違いはありませんが、メスは産卵のため身が痩せるのでオスの方が身はぎっしりと入っています。一方メスは卵を持っていますので、時期によってはそれを楽しむことができます。
その他のカニ
紅ズワイガニ
ズワイガニの代用品的な位置づけとされており、身は甘いものの水分が多く鮮度の劣化が早いのが難点です。コスパは良いのですが、産地での消費以外の多くは加工品に回されています。全国水揚げ量の6割を占める鳥取県境港のほか島根、富山、新潟などで水揚げされています。漁期は9月~6月と長く、7月~8月は禁漁期間です。
ワタリガニ(ガザミ)
日本の太平洋側の浅い海に生息し、昔から食べられていました。甲羅や脚がオリーブ色から青みがかっていて、白い水玉模様があります。一番後方の足はオール状になっていて、泳ぐことができます。脚は短くほとんど食べるところがありませんので、胴体の身とカニみそを楽しむことになります。
タカアシガニ
日本近海の深海に生息し、脚を広げると3m以上になる世界最大のカニです。身はやや水っぽく、カニみそも美味しくないので、岩手から九州にかけての太平洋側で採れるものの、漁業対象としているのは静岡県のみといわれています。
まとめ
和食が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、「和食 特別展」を観て来ましたが、思いがけず「カニ」を深掘りするきっかけとなりました。何となく解ったようで解っていなかったカニの種類や特徴、産地、時期などを整理できましたので、これからはもっとカニを楽しもうと思います。
「和食 特別展」は東京での開催のほか、2024年から2025年にかけて山形、宮城、長野、愛知、京都、熊本、静岡でも開催が予定されています。ご興味のある方は訪れてみてはいかがでしょう。