建築探訪・北海道|赤れんが庁舎(旧道庁舎)~令和の大改修工事

北海道庁旧本庁舎正面 建築探訪
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「赤レンガ庁舎」の愛称を持つ旧北海道庁本庁舎は、1888年(明治21年)に完成し、1968年(昭和43年)に行った復元工事を経て国の重要文化財に指定されています。2019年(令和元年)から2025年(令和7年)にかけて、耐震改修工事を含む大規模な保存改修工事が行われました。

北海道庁

札幌駅から徒歩5分程度のところに北海道庁があります。前庭を持つ赤れんが庁舎の背後に、新庁舎・別館・議会棟・警察本部などが集積しています。

赤レンガ庁舎 正面見上げ
赤れんが庁舎 正面
北海道庁 位置図
赤れんが庁舎を含む北海道庁位置図

保存改修工事

昭和の復元工事

1968年(昭和43年)に北海道開拓100年を記念した事業の一環で行われた復元工事では、内部を火災復旧後の姿とし、外観は創建当初の姿とする復原が行われました。工事内容は、八角塔・ドーマー窓・換気塔・煙突・南北両側の脇玄関・屋根の棟飾りで、さらに正面玄関上の屋根寄棟はマンサード屋根とし、屋根の亜鉛鉄板葺は天然スレート葺に戻され、創建時の姿がよみがえりました。

令和の保存改修工事

昭和の復原工事から50年以上が経過し劣化が進行していたので、2019年(令和元年)に北海道命名150年を契機として令和の保存改修工事が行なわれました。まず、緑青が葺いた八角塔を切り離して、仮設見学施設へ移動します。その後素屋根と呼ばれる仮設の屋根で建物全体を覆い、耐震改修工事や、屋根の葺替え、壁の修復、内装材の張り替えなどを行います。さらに設備機器の老朽更新や省エネ化、バリアフリー化も行う大規模な工事でした。

赤レンガ庁舎 八角塔切り離し
緑青を葺いた旧八角塔の切り離し・移設

耐震補強工事では主要部を鉄骨で補強するほか、レンガ壁には175か所で鋼棒を挿入して補強し、基礎とも強く緊結します。さらに基礎はアースアンカーで地中深くと固着させます。

赤れんが庁舎 耐震補強計画図
耐震補強計画図
赤れんが庁舎 レンガ壁鋼棒挿入位置図
レンガ壁補強のための鋼棒挿入位置図 全175か所

天井は、メタルシーリングと呼ばれる金属板が設置されています。メタルシーリングは明治44年の火災復旧工事の際に防火対策として取り付けられた天井材なので、約100年前の材料であり貴重です。取り外して一枚毎に番号を付け、改修前の部材位置を管理します。取り外した約4,000枚のメタルシーリングを再利用可能か確認し、再利用可能な材料は手作業で美装の後に、取り外し前と同じ場所に再取付をして、塗装します。

赤れんが庁舎内装 1階ロビー、階段、天井、照明
1階正面玄関内ロビー アーチの階段、メタルシーリング、照明

知事室では、内装のほかカーテン・デスク・応接なども配置され、厳かな雰囲気が再現されています。

赤れんが庁舎 知事室、復元
再現された知事室

館内施設

2階には赤れんが庁舎の歴史や改修工事の内容を紹介する部屋や、アイヌ文化の紹介、北海道の物産を紹介する諸室、そのほか道民が利用できるホールが2か所あります。1階にはレストランやカフェ、ショップなどがあり、さらに地下には市民が利用できる多目的室があるほか、北方領土について紹介するコーナーもあり、ここが北海道であることを再認識します。

赤れんが庁舎 館内配置図
赤レンガ庁舎 館内案内図
赤れんが庁舎 北方領土紹介
北方領土について紹介する部屋

前庭

赤れんが庁舎は、市民に開かれた施設であるとともに、その前庭にはふたつの池が配され、1,000本の樹木で季節の景観を楽しめる憩いの場所となっています。ここ、そこのベンチには穏やかな時間を過ごす多くの人々の姿があります。

赤れんが庁舎 前庭 樹木案内図
赤れんが庁舎前庭植栽案内図

まとめ

前回北海道を訪れた際には、改修工事中で全面に足場が架かっていたので、今回の訪問は楽しみでした。館内では改修工事の内容を紹介するビデオが流されていて、文化財補修の細かさや手間のかけ方には改めて感心しました。

ところで、赤れんが庁舎の設計者は平井晴二郎と言って、1875年(明治7年)若干18歳で文科省の第1回留学生として米国レンセラー大学土木工学科に留学した人物です。その後、「東京駅」建設時には鉄道院副総裁の重職にあり、建築家・辰野金吾を設計者に指名しました。辰野の設計は赤レンガに白い石を巡らせるのが特徴ですが、平井こそが「赤れんが」という西洋文明のピースを日本に定着させた立役者なのかもしれません。

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赤レンガ庁舎・赤い星についての別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。

辰野金吾と彼の代表作品に関する別記事があります。ご興味のある方はお立ち寄りください。