二日市温泉は博多駅・天神から約20分とアクセスがよく、福岡市内から日帰りで本格的な温泉に入りたい人や近場で温泉宿に泊まりたい人、太宰府観光の前後にひと休みしたい人などに便利な温泉地です。また、最近は福岡市内のホテル宿泊料が高騰していることもあり、割安な宿泊料金で温泉も楽しめる穴場としての魅力も再認識されているようです。
二日市温泉

二日市温泉が歴史に登場するのは、はるか1,300年前の奈良時代です。最古の和歌集である「万葉集」には、太宰府の長官・大伴旅人が亡き妻を慕って詠んだ歌が収められています。歌にある「次田温泉(すいたのゆ)」が現在の二日市温泉のことです。
その後は「薬師温泉」、近世以降は「武蔵温泉」と呼ばれ、昭和になってから「二日市温泉」となります。江戸時代には筑前藩の温泉奉行が置かれ、黒田藩主専用の「御前湯」がありましたが、明治以降は御前湯は一般に開放された共同浴場となります。

二日市温泉は、アルカリ性単純温泉・低張性・高温泉で、硫黄の香りが心地よく、肌をしっとりさせる美肌の湯です。さらに、ラドンを多く含み、浴室内には気化したラドン成分が充満しており、吸入することで新陳代謝を活性化させるホルミシス効果もあります
二日市周辺には、約9千万年前にできた「早良花崗岩」が広く分布しており、この岩には「ウラン」を含有した「モナズ石」という鉱物が多く含まれています。ウランがラジウムやラドンに変化していくときに出る熱で地下水が温められ、地上に湧出したのが二日市温泉です。
放射能と聞いただけで危険な印象を抱きがちですが、微量の放射能は人体への悪い影響がないばかりか、低線量の放射線を照射することは生物の成長の促進、繁殖力の増進および寿命の延長という効果をもたらすこととされています。

博多湯
博多湯は、明治以前の1860年創業の歴史を持つ老舗の立ち寄り湯です。創業当時の風情を持つ外観の木造3階建ての建物、ほんのり硫黄を感じる柔らかい湯、2階の休憩室など、昔ながらの温泉場らしい雰囲気を残しながら、清潔感のある施設として整備されています。露天風呂やサウナ、食事処などはありませんが、そのぶん温泉そのものとじっくり向き合うことができます。加水・加温・循環濾過なしの「源泉かけ流し」で、泉温は43.8℃、ph8.0弱アルカリ性、低張性、ラドン濃度は5.6マッヘです。放射能泉の呼称基準となる8.25マッヘには届きませんが、二日市温泉の中では高濃度の部類に入ります。






御前湯
御前湯は、筑紫野市が運営する公共日帰り温泉施設で、その名前は、江戸時代に黒田藩主が利用した屋号に由来しています。1階に浴室があり、2階に休憩室や貸室がありますが、2026年秋に改修工事が予定されています。 いくつかの源泉からお湯が供給されていますが、源泉温度30.1~50.9℃、ph7.73~8.46、ラドン濃度0.91~3.16マッヘで、加温・循環濾過・塩素消毒が行われています。




宿
二日市温泉には大きな旅館2軒(大観荘・大丸別荘)、小さな旅館2軒(松原旅館・扇屋)と、ビジネスホテル3軒の計7件の宿があります。
松原旅館
貸し間スタイルの温泉旅館で、トイレは共同ですが洗面所は各部屋にあり、小綺麗な内装と広縁に置かれたソファで、ゆっくりと寛ぐことができます。

玄関ロビーは清潔感に整理整頓されています。ロビーの片隅には共用の冷蔵庫が2台置かれていて、宿泊客は自由に利用することができます。

部屋の広縁は中庭に面していて、大きく茂った木々の緑が目に優しく、心が落ち着きます。

浴室は適度な大きさの内風呂で箱庭に面しています。外には出られませんが、窓を少し開けれは新鮮な空気がスーッと流れ込んできます。源泉かけ流しで、源泉温度50.9℃、ph8.46弱アルカリ性、ラドン濃度0.91マッヘ、無色透明・無味無臭の柔らかい温泉です。

大観荘
大観荘は多くの客室を持ち、複数の大浴場がある大きな施設です。団体や宴会などにも対応できる施設ですが、ひとりでの利用も歓迎されていて、素泊まりでの利用も可能です。

ロビー・フロントから見える庭園は、池を配した和風庭園です。コンクリートの建屋に囲まれた中で、ホット心が癒される空間です。

一人の場合でも比較的大きなゆったりとした部屋の通されます。夕食は部屋食で仲居さんがその都度温かい料理を運んできてくれます。

大観荘には男女ともに二つの大浴場と、二つの家族風呂、岩盤浴があります。温泉はすべて源泉かけ流しで、加水・加温はしていません。源泉温度45.0℃、ph8.66弱アルカリ性、ラドン濃度は6.08マッヘ、無色透明・無味・微弱硫化水素臭の温泉です。


大丸別荘
「大丸別荘」は1865年(慶応元年)創業で、約3,500坪もある日本庭園を有し皇室をはじめ著名人の利用も多い老舗宿です。1949年(昭和24年)には昭和天皇が九州巡幸で大丸別荘に二泊しました。巡幸を機に温泉の名称が「二日市温泉」と改称されました。
大浴場は天然温泉ではあるものの加温・加水・循環濾過が行われており、また客室内にある内湯は温泉ではありません。大浴場の岩風呂や内装は趣があるものですが、温泉そのものについては深いこだわりはないようです。
高級路線の宿ですが、日帰り入浴や食事付きの日帰りプランもありますので、手軽に高級旅館の雰囲気や日本庭園の散策を楽しむことができます。
まとめ
福岡には所用で時折訪れますが、近ごろ福岡市内の宿泊料金が高騰しているのが悩みの種ででした。二日市は博多駅や天神から20分程度ですので、代替の宿泊地とすることができます。しかも1,300年の歴史を持つ由緒ある温泉を楽しめます。宿泊した松原旅館の女将さんも、博多で用事がある方の定宿にもなっているとおしゃってました。
「JR二日市」駅前にはほとんど何もありませんが、「西鉄二日市」駅前にはそこそこの飲食店があります。なかでもおすすめは、食堂と居酒屋が合体したようなお店「二日市食堂ともすけ」です。昼飲みの場合は「飲み放題90分1,000円」という破格の値段が魅力です。

